第10回締約国会議(COP10)

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vol.5 世界で一番早く、そして深刻な影響が出ている北極

土曜日、そして今日、月曜日と非公式の交渉グループが開催されました。しかし、議論はあまり進まず、徹夜に近い形で話し合いが続けられることになりました。
 ・デイリープログラム(英文)

今日も、交渉とは別に政府、研究機関やNGOなどによって開催されるサイドイベントから、以下のイベントをピックアップしてお伝えします。

ピックアップ

世界で一番早く、そして深刻な影響が出ている北極

北極協議会(ACIA) と国際北極科学委員会は、北極における地球温暖化の影響について科学的な分析を行った結果をまとめた報告書を発表しました。
北極協議会には、アメリカ、カナダ、ロシア、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドが加盟しており、今回のイベントはアイスランド政府が主催しました。
まず、北極協議会のロバート・コーレル氏は報告書の全体像についてふれ、「我々の海面上昇の予測は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の予測している高さを超えたものになった。」と話しました。
さらに、アビスコ科学調査ステーションのテリ・キャラハン氏が、「永久凍土の融解は、生活基盤に大きな影響を及ぼすだけではなく、生態系に影響を与 え、さらには永久凍土の下に眠っているメタン(二酸化炭素の約30倍の温室効果がある)の排出につながってしまう。」と永久凍土の融解による影響について話しました。
最後にラルス・オット・レイエルセン氏が、先住民への影響について話しました。レイエルセン氏は、「今は、伝統的な方法で天気を予報することが難しくな り、氷の上を犬ソリで移動し狩猟するという文化も大きな影響を受けている。気候変動は、人々が適応することができないほど早いスピードで進んでいる。」と話しました。
これらの報告に対し、会場からはいろいろな意見や質問がでました。なかでも影響を受ける国の人たちからは、叫びにも近い早急な支援を求める意見が出されました。
バングラディシュから来た人は、「海面上昇によって自分達の国がなくなれば、バングラディシュの人たちはどこに行けばいいのか。受け入れてくれる土地を用意してくれるのか。」と発言しました。
また、アラスカの先住民の人たちからは、「自分達が毎日経験していることを科学的と裏付けてくれるとてもすばらしい報告だ。しかし、自分達の生活がどん どん悪い方向に行くことを示していて、とても悲しい。我々先住民は、非附属書国でもなく、国連をはじめ国際社会から支援を直接受けることができない。す でに深刻な影響をうけながらも支援の対象となっていない我々をどのように支援できるのか真剣に考えて欲しい。」と会場にいる全ての人たちに強く訴えました。
 ・報告のサマリー <報告書は北極協議会(ACIA) のウェブサイトからダウンロードできます。>

気温上昇 

北極の平均気温は、世界のほかの地域に比べて2倍の速さで毎年上昇しています。多くの地域では、夏より冬の気温上昇が大きくなっています。アラスカやカナダ西部の冬の平均気温は、この50年間で3〜4℃上昇しました。このまま温室効果ガスを減らさなければ、北極地域の平均気温は、100年後には大陸部で3〜5℃、海上では最大7℃上昇すると予測しています。また、冬の平均気温は、100年後には大陸部で4〜7℃、海上では7〜10℃上昇するとしています。

氷の融解 

平均気温の上昇に伴い、北極の氷がとけています。この30年間で、100万平方キロメートルに相当する面積の海氷が、とけてなくなりました。これは、ノ ルウェー、スウェーデン、デンマーク(もしくは、テキサスやアリゾナ)をあわせたのと同じくらいの大きさがあります。特に夏の終わりはもっとも少なく、9 月だけでみると約20%減っています。さらに、2100年には、9月だけでみた場合、2050年には50%以上減ると予測しています。 また、北極の陸氷の大部分が存在するグリーンランドでは、氷床のとけている地域が1979年から2002年の間、平均で16%増えました。これは、年々違いがあるもののほぼスウェーデンと同じくらいの大きさです。2002年は過去最大規模で氷床がとけ、標高2000メートルにある氷床までとけました。
また、氷の融解は地球温暖化の悪循環を引き起こします。太陽からの光は、土、海、氷などに反射して宇宙に出ていきます。しかし、土などが25%、海が 10%太陽からの光を反射するのに比べ、氷は80〜90%反射し、宇宙に光を効果的に出す重要な役割を果たしています。地球温暖化によって、その氷が溶けると、宇宙に出る光の量が減り、土や海が太陽からの吸収する量が増え、地球温暖化を加速させてしまいます。
さらに、海の氷がとけると、北極の周りを通る新しい海洋船舶による物流ルートが確保できるようになります。スエズ運河を通るルートより45%も短くなりま す。しかし、事故による油漏れや沿岸の海洋汚染などいろいろな問題を引き起こす可能性もあります。 また、まだ手をつけていない石油・ガスなどの天然資源の25%が北極にあります。皮肉なことに、氷の融解によってそれらの開発が可能になります。 

北極以外に及ぼす影響 (海面上昇) 

海面上昇は、海水温の上昇による海水の膨張と、陸地にある氷がとけ海の水の量増えることによって起こります。100年後には、地球全体で平均10〜90 センチメートル海面が上昇し、毎年とけるスピードが速くなると予測しています。また、このままグリーンランドが気温上昇したら、グリーンランドの氷床が全てとけ、海面が7メートル上昇すると予測しています。 

生態系への影響ホッキョクグマは、氷に住むアザラシをえさにしています。アザラシが住む海まで続いていた氷の廊下がとけ、えさがとれなくなっています。ハドソン湾のメスのホッキョクグマは、平均体重が220キロなのですが、1980年から1992年の間に体重が毎年4.7キロ減りました。ホッキョクグマは、189キロより体重が少なくなると、繁殖が難しくなります。この地域の生態系の頂点に立つホッキョクグマの数が減れば、北極の生態系に大きな影響がでると予測しています。 

ホッキョクグマは、氷に住むアザラシをえさにしています。アザラシが住む海まで続いていた氷の廊下がとけ、えさがとれなくなっています。ハドソン湾のメスのホッキョクグマは、平均体重が220キロなのですが、1980年から1992年の間に体重が毎年4.7キロ減りました。ホッキョクグマは、189キロより体重が少なくなると、繁殖が難しくなります。この地域の生態系の頂点に立つホッキョクグマの数が減れば、北極の生態系に大きな影響がでると予測しています。

先住民への影響 

北極に住む人の3分の2は、イヌイットと呼ばれる先住民です。彼らは、氷の上を伝統の方法で移動し、ホッキョクグマ、セイウチ、アザラシ、カリブーなど を獲って生活しています。しかし、氷が薄くなったせいで、これまでのように氷の上を安全に移動することもできなっています。
また、北極には、オゾン層破壊によってガンを引き起こす有害な紫外線(UV-B)が降り注いでいます。現在の北極に住む人たちは、これまでの世代が浴び てきた量より30%も多く有害な紫外線(UV-B)を浴びており、彼らの健康にも大きな影響が出るとしています。

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