温室効果ガスの増加と地球温暖化
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスは地表面から放射された赤外線を吸収し、地球表面温度を高める効果があります。産業革命以降、化石燃料の燃焼などの人間活動により、大気中の二酸化炭素濃度が上昇しており、地表面等の温度が上昇しています。
太陽は日射によって地表を温めます。温められた地表は赤外線を放射し、大気を温めます。大気中に含まれる温室効果ガス(気体)は、地表面から放射された赤外線を吸収し、地表に再放射することで、地球表面温度を高める効果があります。この効果を温室効果と呼び、温室効果をもつ気体を温室効果ガスと呼びます。
現在、地球の平均気温は14℃前後です。もし、地球の大気に温室効果ガスが存在しなければ、地球の平均気温はマイナス19℃前後になると言われており、温室効果ガスは大気中になくてはならない存在でもあります。

地球温暖化のメカニズム
18世紀後半にはじまった産業革命以降、人間は化石燃料を大量に燃やして使用することで、大気中へ二酸化炭素を排出し、その濃度を急速に増加させました。これにより温室効果が強まり、地表面の温度が上昇しています。
産業革命以前、約280ppmであった大気中二酸化炭素濃度はその後増加し、2023年には420.0ppmに達しました。最近10年間の平均年増加量は約2.5ppmであり、1990年代の平均年増加量の約1.5ppmよりも大きくなっています。
また、産業革命以降二酸化炭素と同様にメタンや一酸化二窒素といった温室効果ガスも増加しています。
地球温暖化問題とは、温室効果ガスの増加により地表面や海水の温度が上昇し、生態圏の変化や海水面上昇といった気温上昇に伴う二次的な諸問題のことを指します。

世界で観測された影響
2021年8月に公表されたIPCC AR6 WG1では、気候システム全体における近年の変化の規模や、現在の気候システムの状態が、数世紀から数千年のスケールでみても前例のないものであると報告されています。報告された主な事象は以下のとおりです。
・世界平均気温は工業化以前と比較して、2001~20年の20年間で約0.99℃、2011~20年の10年間では約1.09℃上昇した。
・極端な降雨や河川氾濫と高潮が組み合わさった複合的な洪水、熱波と干ばつの同時発生、高温や乾燥、強風といった火災の発生しやすい気象など、複合的な自然災害の発生確率が高まっている。
・北極の海氷(2010~2019年)は、1979~1988年と比べて、海氷が最小となる9月で40%減少、海氷が最大となる3月で10%減少している。
・世界の海面水位は1901年から2018年までの期間で20cm上昇した。
