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COP17会場はどんなところ?

 30日午前、CMP7全体会合が開かれました。ここで取り上げられた議題は、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)、適応基金です。いずれも、京都議定書の下の重要な制度です。

 昨日ご紹介した通り、京都議定書の第2約束期間を設けられるかどうかがダーバン会合の論点のひとつになっています。では、仮に、第2約束期間を設置できなかったら、これらの制度はどうなるのでしょうか?第2約束期間設置を強く主張する途上国は、CDMやJIなど京都メカニズムは、先進国が温室効果ガスの削減目標を効率よく達成するために設置されたのだから、仮に、第2約束期間の下、先進国が法的拘束力ある削減約束を持たないのであれば、これらを使うべきではないと主張しています。先進国の中にも、同様の見解を示す国もあります。他方、削減目標を持たなくても、引き続きCDMなどを使う方針を示している国もあります。この点も、京都議定書第1約束期間後の国際枠組み交渉では、非常に重要です。

 さて、今日は、COP17会場をご案内したいと思います。「COP会場」といわれて、皆さんが思い浮かべるのは、新聞やテレビで取り上げられる全体会合の風景だと思います。


写真1:COP17全体会合の様子

 COP17/CMP7には、14,570人が出席しています。内訳は、政府からの参加者が6,172人、オブザーバー組織(国連諸機関、国際機関、NGOなど)からの参加者が6,975人、報道関係者が1,423人です。人数の多さに驚かれるかも知れませんね。交渉担当者だけではなく、国際機関職員、環境NGO、産業界、研究者、学生など、いろいろな立場の人がこのCOPに携わっているのです。

COP17の開会会合の後ろの方はこんな感じでした(写真2)。COPの開会会合については、ここ数年、NGOの参加が大幅に制限されています。それは、あまりにも多くの人がいると、警備や消防上の問題があるからのようです。NGOの入場が大幅に制限されてもなお、これだけの人がいます。


写真2:COP17の開会会合の会場後方

 交渉は、ずっと大きな会議場でやっているわけではありません。いったん全体会合で議題がとりあげられた後、「コンタクトグループ」「非公式協議」などと呼ばれる、問題ごとに設置された小グループに議論の場を移します。小グループと言っても、会合によって規模が異なります。本当に少人数の会合から、全体会合の会議場を使うようなものまであります。また、小グループでの会合については、NGOなどのオブザーバーが傍聴を許される会合とそうでないものとがあります。小グループでの議論の結果をCOPやCMPなどの全体会合に報告し、採択されれば、COPやCMPなどの合意内容となります。


写真3:小グループでの議論の様子

 会議場の各部屋の名前は、COP開催国の植物の名前がつけられていることが多いのですが、今回も、木の名前が付けられています。


写真4:2つの全体会合会場のうちの1つの名前は「バオバブ」です。

会議場の中には、食堂やコーヒーショップなどもあって、お昼休みや休憩時間には賑わっています。


写真5:日替わり定食のメニュー。日本円にすると、250円~550円ぐらいです。

 会議場とは別に、ブースとサイドイベント会場があります。多くの国際機関やNGOは、ブースを設置して、自らの取り組みや研究成果、主張などをアピールします。また、多くの機関によるサイドイベントが開催され、研究成果等について、参加者との活発な意見交換が行われています。次の機会にご紹介します。

執筆:久保田 泉
(国立環境研究所 社会環境システム研究センター)

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