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佐渡市立両津小学校(6年生)

目次

カリキュラム概要

都道府県名新潟県
設置区分公立
学校名佐渡市立両津小学校
学校概要本校は、佐渡市の玄関口である両津地域に位置し、加茂湖や日本海に囲まれた自然豊かな環境の中にある。地域には漁業や観光業があり、子どもたちは日常生活の中で天候や海の様子、季節の変化と人々の暮らしとのつながりを身近に感じながら生活している。近年は猛暑や豪雨など気象の変化も体感しており、自然環境の変化は子どもたちにとって実感を伴う課題となっている。
本校では、令和6年度より「子どもまんなか授業」を掲げ、児童が教師の教えを待つのではなく、自ら学びを進めることを目指した校内研究に取り組んできた。さらに令和7年度は、子どもたち自身が学びの進め方を構想する「ダンドリ力」に焦点を当て、全校で実践を重ねている。子どもの問いや思いを出発点とした対話的な学びや、地域や社会とのつながりを重視した学習を大切にしてきた土台がある。
現在、通常学級5学級(うち複式1学級)、特別支援学級2学級、児童数88名の小規模校である。
これまでの取り組み本校ではこれまで、総合的な学習の時間を中心に、地域の自然や産業、人々の暮らしに目を向けた学習に取り組んできた。加茂湖や海、季節の変化などを題材に、主に資料や体験を通して知識を得る学習を行ってきた経緯がある。その一方で、学習を進める中で子どもたちが自ら疑問をもったり、環境や天候の変化に関心を示したりする姿も見られたことから、学び方そのものを見直す必要性を感じるようになった。
令和6年度より「子どもまんなか授業」を校内研究の柱とし、児童が教師の指示を待つのではなく、自ら学びを進めることを目指した実践に取り組み始めた。さらに令和7年度は、子どもたち自身が学びの進め方を構想する「ダンドリ力」に焦点を当て、学び方を子どもに委ねる取組を全校で進めている。
こうした学びの転換の過程が、今回の実践へとつながっている。
教育目標豊かに かかわり 伸びゆく 子ども
学年6年生
テーマデータから生まれた問いを対話で深め、理科実験で確かめる環境学習
目標・ごみの再分類やデータの分析、対話を手掛かりに、環境や生き物の暮らしに関わる課題を見いだし、問いを立てる。
・p4cによる対話と試行錯誤を通して、仮説を立て、確かめる方法を自分たちで構想する。
・実験や考察を通して、環境問題と生き物のつながりを実感し、よりよい環境や生活につながる行動を考え続けようとする態度を育てる。
内容5月のごみゼロ運動で回収した地域のごみを再分類し、重さを測定して一覧化することから学習が始まった。児童は教師が示した分類指標を基に測定方法を相談して決め、データを整理した。データから自ら問いを見出した児童は、対話したい問いを選んでp4cで考えを深めた。その中で「プラスチックごみは生き物に影響していないのか」「トキは誤って食べていないか」という疑問が生まれた。事例を調べてもトキの報告は見つからず、トキの生態を調べて理科室で採餌行動を再現するモデル実験を実施した。実験結果を基に、環境問題と生き物の暮らしとのつながりを実感する学習へ発展した。
大切にしたことキーワード:「子どもの問いを出発点に」「時間と余白の保障」「教師は方向付けずファシリテート」

子どもの気付きや問いを出発点とし、教師が考察の方向を定めるのではなく、対話を通して問いや仮説が形づくられていく過程を大切にした。データ提示後は「さて、どう?」とだけ投げかけ、問いを与えずに待つ時間と余白を保障した。p4cを用い、教師は聞き役に徹しながら発言を受け止め、思考の流れを見取り続けた。文献で答えが見つからない状況も価値づけ、子どもの疑問からモデル実験へと進む必然性を支えた。実験では必要な物品の準備や計画の明確化にとどめ、方法の決定は子ども同士の相談に委ねた。
スケジュール令和7年6月~令和8年3月
外部協力者高田 研 氏(一般社団法人 地球温暖化防止全国ネット 理事長)

フォトギャラリー

取り組み

4月(2時間)

理科「環境と私たちのくらし」の学習でSDGsを手掛かりに環境問題に触れ、p4cで「未来の佐渡」をテーマに対話を行い、対話のルールを確認した。中庭でとれたみかんが腐った様子を観察し、土に埋めたり、ペットボトルに土とみかんを入れて分解の様子を確かめたりした。

5月(2時間)

ごみゼロ運動で回収した地域のごみを再分類し、重さを測定して一覧化した。教師が示した分類指標を基に、測定方法は児童と相談して決定し、データを整理した。活動を通して、身近な環境と自分たちの行動とのつながりを実感する姿が見られた。

6月(3時間)

ごみ分類の結果を基に分析や考察を行った。データを一覧に示し「さて、どう?」と問いかけると、児童が気付きを出し合い、「ごみは誰から来たのか」という言葉が生まれ、p4cで問いを見出した。5・6年合同で環境について対話し、問いを共有しながら思考を深めたほか、6年生が5年生にプロジェクトの進め方を助言する姿も見られた。その中で「プラスチックごみは生き物に影響していないのか」「トキは誤って食べていないか」という疑問が生まれた。

7月(1時間)

理科「生物のくらしと環境」の学習で生態系を扱う中、児童からトキの誤食の可能性があるのではないかという発想が生まれた。事例を調べたが該当する報告は見つからず、サギや鶴の事例を手がかりに、トキの生態や採餌の様子について考え始めた。

8月(0時間)

活動なし

9月(1時間)

トキの視力や採餌の特徴を基に、誤食の可能性を確かめるモデル実験の方法を話し合った。必要な物品や手順、測定方法について児童同士で検討し、実験計画を立てた。実際の採餌の様子を想像しながら、条件設定についても意見を出し合った。

10月(3時間)

理科室でモデル実験を実施し、結果を記録した。くちばしの再現方法についても児童の提案を基に検討し、方法を決定したが、初回実験後の結果共有では班ごとの結果に差が見られ、誤差が生じた。そのため実験方法や条件を細部まで確認して再実験を行い、データを得た。得られた結果を基に気付きを出し合い、誤食の可能性について考察を深めた。

11月(2時間)

11月20日に来校した高田研氏とともにp4cを行った。テーマは「佐渡の未来」とし、「このまま気候変動が進んだら佐渡の生き物や自然はどうなるのか」「トキは気候が変動したら住む場所を変えるのか」といった問いを出し合いながら対話を進めた。海面上昇によって学校や加茂湖周辺がどのように変化するかを想像する姿も見られ、これまでの学習と重ねながら、トキや自分たちの暮らしとのつながりについて考えを広げた。

12月(1時間)

これまでの学習を振り返り、モデル実験や考察の内容を整理した。環境問題と自分たちの暮らしとのつながりについて対話し、アンケートを実施した。

1月(1時間)

「理科の知識でこの町を救え」をテーマにした課題解決型の授業を実施した。児童は、熱の移動やCO₂、エネルギーの変換といった既習事項や「学びBOX」スライドのデータを根拠に、対話を通して短時間で対策を構想し発表した。資料を自ら取りに行き、根拠を基に議論する姿が見られ、理科の学習が社会課題の意思決定に結び付くことを実感する様子が見られた。

2月(1時間)

これまでの学習を振り返り、「私たちはなぜここまで考え続けられたのか」をテーマにp4cを行い、問いや対話、実験を通して考えが深まっていった過程を言語化した。

3月(1時間)

学習全体を振り返り、「これからの自分の生活で続けたいこと」を書き出し、共有した。環境問題と自分の行動とのつながりを改めて確認した。

児童の変化

<児童・生徒の変化について>

12月に実施したアンケート結果から、以下のような児童の変容がうかがえた。

気候変動の原因や仕組みを理解していると答える児童が多く、気候変動を自分たちの生活に関わる課題として捉えている様子が見られた。また、「地球のために自分にできることがある」「環境に良い行動を意識して行っている」と回答する児童も多かった。さらに、学習前と比べて「できるようになった」と自己評価する児童も見られ、自身の変化を自覚していることが分かった。

自由記述には、「電気をこまめに消す」「ごみの分別を丁寧にする」「食べ残しを減らす」「家族と環境について話す」「ニュースに関心をもつ」など、日常生活における具体的な行動が挙げられていた。加えて、対話を通して考える経験を重ねたことで、環境問題を自分事として捉え、行動に結び付けようとする姿勢も見られた。

<児童・生徒の変化をどのようにして評価したのか>(アンケート等)

12月にアンケートを実施し、気候変動の理解、生活との関係の捉え、環境に配慮した行動意識、および「学習前と比べてできるようになったか」という自己評価について把握した。あわせて自由記述の内容から、児童の考え方や実生活での具体的な行動の様子を読み取り、選択式回答の傾向と記述内容の両面から児童の変化を評価した。

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