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南アルプス子どもの村中学校

目次

カリキュラム概要

都道府県名山梨県
設置区分私立
学校名きのくに子どもの村学園 南アルプス子どもの村中学校「くらしの歴史館」
学校概要富士山、南アルプス、八ヶ岳連峰に見守られながら、果樹や動物たちと暮らし、学びを育む小さな学校。自己決定(子ども自身の発想と実践、自己評価を重視する)、個性化(一人ひとりのちがいを認める)、体験学習(実際的な課題や具体的な仕事にとりくむ)を基本原則とした中学校。クラスは、くらしの歴史館(食・農業・畜産)、ものづくり研究室(林業・建築)、劇団カメレオン(演劇)、ゆきほたる荘(人権・環境問題)のプロジェクトに分かれ、希望する1〜3年生が縦割りに在籍している。活動は子どもたち主体で考えられ、話し合いながら進めている。
これまでの取り組み食は人が生活していく上で欠かせない営みで、ありふれたことなのに、私たちは取り立てて知ろうとすることなく生活している。「食」を切り口にして、食材のルーツをたどっていくと、その食材一つ一つはそれぞれにヒストリーがあるはずだ。作物を発見し育てはじめる物語だったり、動物をとらえ家畜化するくらしは古来より続けられてきた。歴史をさかのぼり、その起源を知れば知るほど、調理をして食べる喜びも大きくなる。伝統や文化にまつわる話、農業の変遷、社会の発展と環境への影響、食の安全と健康、地域と世界のつながり、環境や人権に至るまで、活動は無限に広がっていく。今、自分が生きることだけではなく、将来に生きる人たちのためにサスティナビリティを考えようとする姿勢も忘れてはならない。
「くらしの歴史館」は農業、畜産、養蜂に取り組み、自ら育てた食材を調理して「0から食堂」を開いてきた。お米や野菜は自分たちの手で種をまき、苗を植え、農薬や科学肥料を使わずに育て、汗を流して収穫する。ニワトリ、ブタ、アイガモの生活や権利を尊重しながら愛情をもってお世話し、卵やお肉をいただいてきた。その手間と想いすべてが料理を特別なものにする。食をとりまくこの幸せを自分たちだけで終わらせるのは勿体無いという思いから、0から食堂プロジェクトがはじまり、お世話になった方々や保護者に向けて振る舞ってきた。
教育目標教育目標は「自由な子ども」である。感情(緊張から解放され、自己肯定感をもって生きる。)、知性(繊細な感覚と旺盛な好奇心を持ち、小さな科学者として考える)、人間関係(共に生きる喜びと知恵を持つ)のいずれの面でも自由な子どもに育つことを目標としている。
学年中学1年生(6名)、2年生(11名)、3年生(11名)、合計28名
テーマ食とくらしが循環していた時代を追体験することを通して、より良く生きる未来を考える。
目標地球環境の問題と自分たちの生活をつなげて考え、解決方法を模索し、循環するくらしの実践を積む。くらしを循環させることで、ムダをなくし、環境への負荷を軽減する。その実践から発想したサステナブルな未来のあり方を提案する。
内容2024年度は、循環するくらしと食のあり方を模索しようと、はじまった。そのためには生産だけではなく、消費にも目を向ける必要がある。まず、ごみを生み出さない考え方、ゼロ・ウェイストを学ぼうと上勝町を訪ねた。次にエネルギーの自給自足に挑戦するため、オフグリッドを学ぶ。食材の生産も従来の方法に加え、炭素循環農法や魚のフンを栄養として利用するアクアポニックスに取りくんだ。多くの実践を積むことで気候危機を解決する方法を探り、未来を変えようと行動した。一方で気候危機の問題を後回しにしてきた大人に疑問を抱いた。中学生は自分たちだけでは地球は守れないと気づき、多くの人に実践を伝え、行動してもらうように促した。
大切にしたこと第一に自分たちの生活と地球環境の危機が繋がっており、身近な問題だと認識すること。そのためには、環境問題を机上で学ぶのではなく、自ら違和感に気づき、行動したいと思うことが前提になる。畑仕事や間伐作業を進める中で、気温の変化や作物の育ち方、放置林の多さに触れ、地球環境の変化や問題を肌で感じてもらう。問題を解決しようとするとき、インターネットの情報に頼るのではなく、実践者から学ぶことも大切にしたい。実際に会って活動内容や人となりに触れながら、自分たちの活動のヒントにしていく。そして失敗を恐れずに多くの実践を行い、行ってきた活動を発表する機会を多くもつ。たくさんの方に知ってもらうことで、自分たちの活動の振り返りになるとともに、議論が深まる機会になるだろう。
最後に忘れてはいけないことは、環境教育は子どもだけではなく、大人自身も学び、行動しなければならないということだ。近年急速に進む気候危機は子どもの権利を奪っている。当たり前のようになっているが、近年、熱中症警戒アラートが頻繁に発表されている。それに伴い、外で遊ぶことも規制される。本来外で遊ぶか室内で過ごすかは、子どもが選び、大人はその意見を尊重しないといけない。子どもの権利条約31条は、これを保障しているはずだ。止めるべきは、子どもの行動ではなく、気候危機だ。私たちは多くの商品をつくり、消費し、経済を発展させ、生活を便利にしてきた。それは、気候危機を促進させ子どもたちの自由を奪っていたのだ。この実態に気づき、大人自身も行動していかなくてはならない。子どもと共に大人も育ちたい。
スケジュール令和6年4月1日〜令和7年3月31日
外部協力者合同会社RDND
pangaea,LLC.
INOW
徳島大学
地域自家発電研究会
一般社団法人amu
ゼロ・ウェイスト推進員のみなさま
TONPUKU
ぶぅふぅうぅ農園
高瀬さんちの48
青空生産農場
自給農園めぐみの
八ヶ岳エコハウス「ほくほく」
パーマカルチャーと平和道場
武蔵野大学サスティナブル学科
お肉の情報館
八ヶ岳シェフズバル
山梨県地球温暖化防止活動推進センター
公益財団法人キープ協会
南アルプス市立大明保育所

フォトギャラリー

取り組み

4月
  • 1年間のテーマを話し合いで決める。
  • 徳島県にある上勝町を訪問。無駄、浪費、ごみをなくすゼロウェイストの考え方を学ぶ。
    →食品や焼却ゴミを廃棄するために多くのCO2を排出していることを知る。
5月
  • リユースショップ(くるくるショップ)を保護者向けに開く。
  • 中学校からでるプラスチックゴミと紙ごみをリサイクルする。
  • 作物を植える。
  • 土壌の健康と生態系の回復を目指し、自然の力を最大限に引き出すことで、環境を「再生」するリジェネラティブ農業(環境再生型農業)の実験をはじめる。土壌に多くの二酸化炭素を含ませることを期待する。
6月
  • 水産養殖(Aquaculture)と水耕栽培(Hydroponics)を組み合わせた、魚と野菜を同時に育てる循環型の持続可能な農業手法アクアポニックス装置をつくりはじめる。
  • 自転車発電をつくりはじめる。従来の発電方法は多くの資源を使い、二酸化炭素を排出するため、地球にやさしい発電方法を実験しながら模索する。
7月
  • 1回目の0から食堂をテイクアウトで開催する。ごみの焼却で排出される二酸化炭素をできるだけ抑えるために、調理する際に出るゴミは、リサイクルし、販売時は食器の持参をお願いした。
  • 中学校のゴミを分別しはじめる。今までは全て焼却ゴミだったが、「プラスチック」と「ミックス紙」、「燃やさなければならないもの」に分けてマテリアルリサイクルしてくれる業者を自ら探し、引き取ってもらっている。
  • 2回目のリユースショップ(くるくるショップ)を開く。
8月
  • 夏休み中にクラスの一部の子は修学旅行に出かける。
    →地熱発電、洋上風力発電・潮流発電、小浜温泉バイナリー発電、バイオマス発電など様々な発電方法を見学する。
     また、二酸化炭素を吸収し蓄積させ、気候変動の緩和が期待される「炭素循環農法」の実践者に話を聞いた。
9月
  • 発電プロジェクト:自転車発電から太陽光発電に切り替え、道具を揃える。
  • アクアポニックスの魚を捕まえにいく。
10月
  • 0から食堂を開く。引き続きゴミを出さない取り組みを続ける。
  • 豚を飼う。学校の残飯を食べてもらうため、残飯量が減る。
  • 3回目のリユースショップ(くるくるショップ)を開く。
11月
  • オフグリットハウスの実践者八ヶ岳エコハウス「ほくほく」さんに発電の仕組みを教えてもらう。
  • 0から食堂を開く。
12月
  • 0から食堂を開く。食堂を運営している時の音楽、冷蔵庫、IHなどの電気を自家発電で賄った。
  • 4回目のリユースショップ(くるくるショップ)を開く。
1月
  • 活動をまとめていく。自分たちの実践がどれだけ地球環境への負荷を減らせているのか調査し、まとめていく。
    →再資源化できたごみの量を計測する。リジェネラティブ農業が成功したかどうか。太陽光発電の発電量など。
  • 「これからの学校での気候変動教育」にて実践報告。
2月
  • 豚を出荷する。
    →食堂のお肉としていただく。
  • 南アルプス市立大明保育所にて実践報告。保護者やスタッフに向けて活動の報告を行う。
3月
  • 八ヶ岳シェフズバルに出店。営業するための電力を太陽光発電のみで運営する。
  • 5回目のリユースショップ(くるくるショップ)を開く。
  • 学校の発表会で活動の報告。学校の生徒、保護者に向けて報告した。

児童の変化

<児童・生徒の変化について>

農繁期は多くの時間を畑や田んぼ、家畜たちが住むフィールドで活動していた。野外にいたおかげで自然界の変化や気候の異常さを肌で感じることができた。「トマトが葉焼けしている。暑すぎる気候と関係があるのかな?」「大豆が全部カメムシに食べられた!この大量発生はなぜ起きたんだろう?」「ニワトリが暑さで死んでしまった。申し訳ないことをした。」など。本物の活動は「なんで?」「どうして?」という、問いや気づきが溢れてくる。それら問いに対してすぐに答えを提示せず、一緒に考えていく姿勢を大切に、見守り続けた。

農繁期が落ち着いてきた頃には、中学生たちの会話は「ごみの最終処分場が2050年にはいっぱいになるらしい。」「世界平均気温が10年ぐらいで約1℃上昇しているんだって!」などの内容に変わりはじめる。現場で感じた気づきや異変について自ら調べていくうちに、気候危機の実態を把握していったのだ。作業を通して感じていた「違和感」は「危機感」へと変わり、行動となった。0から食堂を通して自分たちが知ったことや経験したこと、考えたこと、地球を大切にしたい気持ちなどを伝え、仲間を増やしようと活動していった。

子どもの村は活動したことを原稿に書き残し、本にまとめている。最後に、ニワトリやブタのお世話を中心となって進めていた中学3年生の女の子が書いた原稿の一部分を紹介したい。「野菜や米を育て、果物を収穫した。発電やアクアポニックスにも挑戦し、余った食べ物は家畜にやり、出てくるゴミを生かす方法をみんなで考えた。まんまるショップを開店し、総計100kgの不使用品が保護者の間で物々交換された。フードドライブでは100kgをこえる食べ物を集め、フードバンクに寄付できた。世界では誰かが誰かの生活を支えるために働いている。ふり返ると、歴史館という小さな集まりで小さな地球が完成する。電気も食料も、私たちが生活する上で必要なものは自分たちでつくることができる。そんな小さな循環が各地に生まれるとおもしろくて、いいと思う。」

<児童・生徒の変化をどのようにして評価したのか>(アンケート等)

原稿。話し合いでの発言。作業中の会話など。

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