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バス停のCOPアテンダント

今日はCOP16 カンクン合意ができるかどうかの大事な日。私も朝早くからホテルをでました。今日もよいお天気、真っ青な空。ホテルから歩いて10分くらいのところにあるカンクンメッセ行きのバス停では、いつもよりバスを待つ人の数が多いようです。国際色豊かな関係者の表情は、気のせいかみな一様に緊張感を漂わせているように見えます。バス停ではいつもCOP関係者のケアをしてくれる男女の二人組は、毎日会うすっかり顔なじみになった関係者と写真をとりあったり、握手をしたりと早くも最終日のお別れの儀式で忙しそう。

COP16関係者のためのバスは24時間運転しています。そして、バス停には常時ふたりのアテンダント、つまりお世話役がいるのです。女性のアテンダントは、いつも明るく親切で、しかも美人で英語が話せる素敵な人。男性はおもにスペイン語で話すのですが、温かい人柄が伝わります。ふたりは毎日、カンカン照りの日差しの中で、時間通りに来ないバスの到着予想時刻を知らせてくれたり、日陰に座って待つようにすすめてくれたり、とても親切でハートフルな人です。

バスの待ち時間が長いので(時には1時間も!)彼女とよくお話をする機会がありました。彼女の名はイボンヌ(Ivonne)さん、本職はグラフィックデザイナーでCOP16のために臨時で12日間、この仕事(バス停でのアテンダント)をしているそうです。また、閉会後は3日間政府のために広報の仕事をするそうです。ギャラがよいので、クリスマスのためにちょっとおいしい仕事なのと、うれしそうに笑っていました。しかし、この期間、彼女は睡眠時間が充分とれていないそうですが、「私はこの仕事に誇りをもっているし、ベストを尽くしているの」といった彼女の言葉が、心に染みました。


写真:黄色の服を着ているのがイボンヌさん

屋外で長時間働いているようなので勤務時間を聞いてみると、朝の5時00分から午後3時までだそうです。そういえばいつもメッセから戻ってくる時間には別のアテンダント・ペアがバス停で働いていました。

イボンヌは仕事が終わる午後3時には、別のバス停からダウンタウンの自宅へもどっていきます。彼女の言葉によれば、世界一流のリゾート地であるこのあたり、いわゆるホテルゾーンでは、ホテルの従業員が草木を刈整え、確かにごみ一つ落ちていませんし、実に快適に美しく感じられます。しかし、彼女の住むダウンタウン周辺のビーチには、プラスチックをはじめとする様々なごみがいっぱいあるそうで、彼女がその話をしたときは表情がくもり声のトーンも沈んで、本当に悲しそうだったのが印象的でした。

もう一人、メッセの中庭でサンドイッチを販売していた女性とも顔なじみになり、会話を交わしました。彼女の勤務時間は朝7時から夜の7時までだそうでそうです。彼女からも食後のごみの捨て方を教わりました。また、ちょうど彼女のレジ売上金を回収に来た30代の女性は、日本語を教えてほしいと私に興味しんしん。「ありがとう」「こんにちは」などを笑顔で繰り返し発音練習をしていきました。

束の間のふれあいですが、世界中でみんながいっしょに環境を考えていることを実感します。

執筆:阿部育子
(宮城県温暖化防止活動推進センター)

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