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No4. クリーン開発メカニズム(CDM)の「改善」はできるのか? 2005/12/1

クリーン開発メカニズム(CDM)は、「京都メカニズム」 の1つで、先進国が途上国に対して技術や資金を提供して温暖化対策事業を行い、その事業によって排出削減された量(CER)を、事業の投資国と実施国とで分け合うことができるという制度です。


「CDM/JI事業調査事業実施マニュアル」環境省より

現在、実際のプロジェクトの承認がCDM理事会を通じて進められているところですが、9月に行われた閣僚準備会合などでも事業化までの手続きには時間がかかりすぎるなどの問題点が指摘されており、ホスト国であるカナダの環境大臣が初日に発言されたようにCDMの「改善」ができるかどうかが、モントリオール会議での大きな焦点となっています。
CDMプロジェクトの計画から登録、事業化までの手続きの流れ
プロジェクトに該当する方法論の選択
プロジェクト設計書(PDD)の作成
指定運営組織などによる有効化審査
プロジェクトとして登録
プロジェクトの実施
モニタリング報告書の提出・公表
検証(verification)の実施、検証報告書をCDM理事会に提出
CERの発行 

昨日のCOP/MOP本会議では、CDM理事会 からの2004年から2005年までの活動の報告があり、現在までに、39のCDMプロジェクト事業が登録されているとのことでした。
いまだに登録された事業の数が少ないことが各国の不満につながっていると考えられますが、報告では事務局作業の効率化(streamline)やマネジメントプランについての要点が紹介されました。昨日のCOP/MOPの本会議では、各国から様々な意見が出され大幅に時間を超過しましたが、具体的な詰めの作業は交渉グループで話し合うこととなりました。
本日その最初のコンタクトグループが開かれました。この中で、日本は地域暖房やエネルギー効率化、交通対策などといった方法論が少ないことを指摘しています。また、アフリカの国からは、CDMを実施するうえでの能力開発(キャパシティビルディング)のためにCERによる収益の一部(Share of Proceed)を当てるといった提案がありました。
交渉グループは今後も引き続き行われ、来週のCOP/MOPの本会議で報告されることになっています。
関連サイト:CDMに関する条約事務局のホームページ

代替フロンHFC23の破壊事業

また、CDM事業の中でフロン類に関しても、このモントリオール会議で注目されているところです。それは、オゾン層破壊物質でモントリオール議定書の規制対象となっているHCFC22の製造過程で副生成物として出るHFC23を破壊する事業で、新規プラントによるものを排出削減量(CER)として認めるかどうかです。新しいプラントを認めてしまうとHCFC22の生産の増加につながってしまいオゾン層保護のためのモントリオール議定書との整合性がとれないのではないかとの指摘があります。この議論は昨年のCOP10で話題になりSBSTAで取り上げられており(参照:COP10報告vol.89 )、今回の会議でもSBSTAのもとで交渉グループがつくられて話し合いがもたれており、その結果は来週の本会議で報告される予定です。 

共同実施(JI)について 

共同実施(JI)も、「京都メカニズム」の1つですが、CDMが途上国と先進国の間での事業であるのに対し、JIは先進国間の事業となります。つまり、ある先進国が別の先進国に対して技術や資金を提供して温暖化対策事業を行い、その事業によって排出削減された量(こちらはERUと呼びます)を、事業の投資国と実施国とで分け合うことができるという制度です。 


「CDM/JI事業調査事業実施マニュアル」環境省より

しかし、今はまだCDM事業の「CDM理事会」のような、JIの事業を承認するための手続きや機関が決まっていません。今回のモントリオール会合では、その手続きや機関を決めるべく、現在交渉グループが開かれているところです。
今日のデイリープログラム(英文)

会場の様子

今日のお昼には会議場のロビーにサンタクロースがやってきました。これは若者たちのグループが行ったパフォーマンスで、サンタさんが京都議定書にコミットメントしないといった子どもにはプレゼントはないよ、コミットメントすると言った子どもにはプレゼントをあげようと言って集まった人たちをわかせました。
環境NGOのCANが毎日行う今日の化石賞 で、第一位の米国・オーストラリア・ロシア、第二位のオーストラリア・カナダ・米国に続き、日本が第3位に選ばれてしまいました。理由は、日本が昨日の本会議で、 2012年の枠組みはアメリカなしでは前に進めないと、まるでブッシュ政権を追従するかのようなふるまいだったからというものです。
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