第20回締約国会議(COP20)

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COP20では何について話し合われるのか?(12月2日)

リマに来たのは2度目です。数年前、こちらに住む友人を訪ねてきたことがあります。今回も、到着日に友人に会い、ごはんを食べに行きました。近況についていろいろとおしゃべりしながら、ペルー料理を楽しみました。ずっと会議場にいると、ペルーらしいものを食べる機会があまりないのが残念です。

写真1:セビーチェ(魚介類のマリネ)≪写真上≫とタクタク(煮豆とご飯の和え物とをフライパンの上で固めて焼いたもの+白身魚のソテー)≪写真下≫

 さて、今日は、COP20で何について話し合われるのかをお伝えしたいと思います。これを理解するには、気候変動交渉のこれまでの流れを理解する必要があります。

 まず、「気候変動COP」とひとまとめにして呼んでいますが、実際には、5つの会合が並行して開催されています(図1参照)。気候変動枠組条約の最高意思決定機関である①締約国会議(COP)、京都議定書の最高意思決定機関である②締約国会合(CMP)があります。気候変動枠組条約と京都議定書の下、COPとCMPをサポートする機関として、③科学上及び技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)と④実施に関する補助機関(SBI)が設置されています。そして、2011年以降、⑤強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)が臨時の補助機関としてCOP決定により設置されています。これら5つの会合の下、実に多くの議題が立てられ、議論が進められています。

図1:気候変動枠組条約及び京都議定書の会議(出典:筆者作成)

気候変動COPでは、条約に参加する国が集まって、これまでに合意してきた国際レベルの気候変動対策が適切に実施されているかどうかをチェックし、そして、今後どのように対策を進めていくかを話し合っています。

現在、議論されていることの中で一番大きな問題は、2020年以降、国際社会がどのように気候変動対策に取り組んでいくか、です。2011年にダーバン(南アフリカ)で開催されたCOP17で、この新しい枠組みについて、2015年末までに決めることになりました。なお、2015年のCOP21はパリ(フランス)で開かれることになっています。

図2:気候変動交渉の流れ(出典:筆者作成)

このダーバンでの合意は、国際レベルの気候変動対策にとって、大きな転換点のひとつとなる可能性があります。それは、気候変動対処のための国際枠組みの大きな課題のひとつである、「先進国」と「途上国」という硬直化した役割分担を乗り越える可能性を持つ合意だからです。

 現在の国際社会の気候変動対策の基盤である、気候変動枠組条約(1992年採択、1994年発効)では、先進国(=条約策定当時のOECD加盟国)と経済移行国のリストを条約附属書Ⅰに掲げて、「附属書Ⅰ国」としています(図3参照)。条約上、これらの国々は、自国の排出削減を行うことが求められています。京都議定書(1997年採択、2005年発効)でも、「排出削減数値目標を持つ先進国」と「目標を持たない途上国」という区分がなされています。バリ行動計画(2007年)で、初めて、非附属書Ⅰ国(条約附属書Ⅰ国ではない国、すなわち、途上国を意味します)は、自らの排出削減行動に関する交渉を始めることに初めて合意しました。

図3:気候変動枠組条約上の国の区分(出典:筆者作成)

 気候変動枠組条約が採択されてから、20年以上の月日が流れていますが、この条約附属書Ⅰ国のリストは当時のままです。条約採択後に経済開発協力機構(OECD)に加盟した、メキシコ(1994年加盟)、韓国(1996年加盟)、チリ(2010年加盟)は、このリストには含まれていません。また、OECDには加盟していいませんが、急速に経済成長を遂げ、温室効果ガスの排出量シェアの上位を占めるようになっている中国やインドも、このリストには含まれていません。

 気候変動枠組条約は、気候変動が危険なレベルに達さないようにすることを目指しています。そのためには、地球全体で温室効果ガスを大幅に削減することが必要です。先に述べたような、附属書Ⅰ国と非附属書Ⅰ国のグループ分けや役割分担を固定した仕組みでは、地球全体での温室効果ガスの削減を進めていくことはできません。

 2020年以降の国際枠組みは、「すべての国が参加する」ことにすることになっていますが、最終的には、交渉次第で、これまでの「附属書Ⅰ国」と「非附属書Ⅰ国」との役割分担が維持されることになる可能性もあります。今回も、発展途上国グループは、「2020年以降の国際枠組みについての交渉は、気候変動枠組条約を改正したり再解釈したりするものであってはならない」と発言していました。これは、これまでの「附属書Ⅰ国」と「非附属書Ⅰ国」のグループ分けと役割分担を維持せよ、という意味です。しかし、交渉でこれを変えていく余地が生まれたのです。

 今日は、ADPの開会会合が開催され、各交渉グループ代表がリマ会合の成果として何を期待するかについて発言しました。

写真2:議事を進めるクマラシンADP共同議長(トリニダード・トバゴ)

 経緯と各交渉グループの発言を踏まえると、リマ会合では、以下の4点が主な論点になりそうです。明日以降、これらがどういう問題なのかを解説していきます。
1) 来年のCOP21で議論し採択するための2015年合意文書案を策定すること
2)    2020年以降の各国の排出削減目標を提示する際に、どのような情報を提供するかを決めること
3) 2020年までの各国の排出削減目標の引き上げについて検討すること
4)    先進国から途上国への資金支援の見通しを明らかにすること

 ところで、本日の化石賞を日本が受賞したようです。化石賞とは、気候変動対策に取り組んでいる環境NGOの国際的なネットワークが、気候変動交渉や気候変動対策に後ろ向きである国に対して贈るものです。日本の受賞理由は、「途上国への温暖化対策支援の資金を使って、CO2排出量の多い石炭火力発電所の海外での建設を支援していること」。昨日の授賞式の様子(動画)を、こちら(https://www.youtube.com/watch?v=i7OGW4xC4g0)で見ることができます。

文・写真:久保田 泉(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)

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