第14回締約国会議(COP14)

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No.3 「共通のビジョン」のための意見交換

12月2日の午後と3日の午前中に、AWG-LCAの下で、共有のビジョンについてのワークショップが開催されました。ワークショップは、次期枠組みの主要な項目について、各国政府代表や国際機関が、交渉ではなく、自国の提案内容や研究成果を発表し、率直に質疑応答をしながら理解を深める機会です。


ワークショップではスクリーンに発表資料が表示されます (c)Masayoshi Iyoda
ワークショップではスクリーンに発表資料が表示されます (c)Masayoshi Iyoda

国際機関や研究機関や各国から、地球温暖化をとめるための世界全体が目指すビジョンについて発表がありました。これらの資料は、UNFCCCのウェブサイトから手に入れることができます。


■各国が「共有のビジョン」について考えを表明
日本は共有のビジョンとして、G8洞爺湖サミットの「2050年に世界全体の温室効果ガスを半減させる」という長期目標の採択を求めました。長期的な戦略として、低炭素社会への移行を挙げ、技術革新、ライフスタイルの革新、インフラの革新によって低炭素社会を構築するべきだと強調しました。また、先進国が率先した行動をとること、共通だが差異のある責任に基づいてすべての締約国が行動することが必要であると指摘しました。
地球温暖化の悪影響にとりわけ弱く、気候変動対策に最も積極的なグループの一つである小島嶼国連合は、長期目標としては、産業革命前に比べ、気温上昇を1.5℃未満に抑えること、中期目標としては、附属書?国が1990年時点の温室効果ガス排出量の40%以上を削減することなどを求めました。さらに共有のビジョンは気候変動の悪影響に脆弱な国々を温暖化の悪影響から守るものでなければならないと強調しました。
EUは、共有のビジョンの長期目標として、産業革命前から2℃未満の気温上昇に抑えること、2050年までに温室効果ガスを1990年比で50%削減することを提案しました。また、この長期目標は短期目標や、2020年の中期目標を導く尺度であるべきだと主張しました。緩和(温室効果ガスの削減)だけでなく適応にも言及した発表でした。
ガーナ、中国、インドなどの途上国は、共有のビジョンが緩和のみに限られるものではなく、バリ行動計画の4つの要素である緩和、適応、技術、資金のすべてを含むものでなければならないと主張しました。気候変動への対処の必要性を訴えながら、同時に途上国の開発のニーズや先進国との格差を説明し、衡平性のある枠組みを求めました。
質疑応答の時間には、各国の発表について活発なやりとりが行われました。日本の発表に対して、中国から「ライフスタイルの革新というのはどういうもので、どう計測するものか。例えば、日本はシャワーを浴びる時間を減らすことを例示しているが、世界でいったい何人の人がシャワーを浴びることができるのかと思う」という質問がありました。日本は、これに対して、クールビズなどの取り組みを紹介するとともに、「例えば私は週末なら1日7回シャワーを浴びるが、これを3回に減らせば、ライフスタイルを変えたことになる」と答え、考えを変えてライフスタイルを変えることの重要性を強調しました。
マチャド議長は、このワークショップの総括の中で、多くの締約国が、2050年までの長期目標として、温室効果ガスを2050年までに少なくとも50%削減すること、削減は1990年比か、現状比で計測すると述べたと指摘しました。同時に、80%以上の削減を提案した国もいたことを付言しています。このワークショップによって、各国の主張がより明確になり、先進国と途上国の間での認識のギャップがさらにはっきりと見えてきました。COP14の間に共有のビジョンについて一定の成果を残せるかどうか、注目されます。

共有のビジョンについてのワークショップの様子 (c)Masayoshi Iyoda
共有のビジョンについてのワークショップの様子 (c)Masayoshi Iyoda


■コラム 環境NGOのニュースレター
国際的な環境NGOのネットワーク「気候行動ネットワーク(Climate Action Network)」は、国際会議の内容やNGOの意見をユーモアたっぷりに伝えるニュースレター「eco」を発行しています。新しい号が発行されるとみんながほしがって持って行くため、短時間でなくなってしまうこともあります。ecoは会議参加者の間でも人気のある、有名なニュースレターなのです。

CANのニュースレター「eco」 (c)Masayoshi Iyoda
CANのニュースレター「eco」 (c)Masayoshi Iyoda

例えば、12月2日に発行されたecoの一面は「共有のビジョン(Shared Vision)」という見出しでした(写真)。

共有のビジョンは...... (c)Masayoshi Iyoda
共有のビジョンは…… (c)Masayoshi Iyoda 

写真の通り、「共有のビジョン」という見出しと大きな空白があり、下の方に小さく「安全な気候の未来(Picture a climate-safe future)」と書いてあります。この記事は、「国際社会はビジョンを共有できていない!このままでは気候は大変なことになる!」というメッセージを皮肉たっぷりに伝えています。

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