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2-3 日本への影響について

2014年に発表された、環境省・気象庁による「日本国内における気候変動予測の不確実性を考慮した結果について」では、温室効果ガスなどのCO2濃度上昇の最悪のケースでは、今世紀末の日本の真夏日は現在と比べて全国では平均52.8日増加する予測もされています。(引用文献*1) また、年降水量については、大雨による降水量は増加傾向にあると予測されています。

参考図表:2100年末における真夏日の年間日数予測

この気候変化は既に生態系に影響を及ぼし始めているようです。

サクラ(ソメイヨシノ)の開花には開花直前の気温が最も重要な気象要素となりますが、1953 年以降、サクラの開花日は、10 年あたり1.0 日の割合で早くなっています。
また、海の中では海面水温が上昇によりサンゴの白化現象が起きています。白化現象とは、サンゴが褐虫藻を失い、白い骨格が透けて見える現象です。白化が起きる原因は、水温の変化や強い光、紫外線、低い塩分などですが、中でも水温の影響は大きく、30℃を超える状態が長期間続くと、褐虫藻に異常が起こり、その状態が長く続くとサンゴは死んでしまいます。2016 年には、夏期に 30℃を超える高い海水温の状況が続いた西表石垣国立公園の石西礁湖などにおいて、サンゴの白化現象が深刻な状況となっていることが確認されました。(引用文献*2)

次に、人の健康への影響ですが、まず、猛暑日の増加により熱中症の患者が増えています。暑い日には熱中症が多く発生します。記録的な猛暑となった2010年は、熱中症によって1745人の死亡数が報告されています。(引用文献*3)

さらに、2018年7月23日、埼玉県熊谷市では国内最高記録となる41.1℃を記録、2020年8月17日に静岡県浜松市でも同じく41.1℃を記録するなど、近年は特に暑い夏が増加しています。(引用文献*4)

参考図表:増加する熱中症

そして、日本では近年、極端に少雨の年が増えているとともに、少雨の年と多雨の年の年降水量の開きが大きくなる、つまり、年変動が拡大する傾向が確認されています。一方で、時間雨量100ミリ以上の豪雨の回数が増加していることも確認されています。

参考図表:大雨(日降水量400mm以上)の年間観測回数

また、2014年8月にはヒトスジシマ蚊の媒介によるデング熱の症例が約70年ぶりに報告されました。ヒトスジシマ蚊は、近年、温暖化によってその生息域が広がっています。日本でも、生息域が次第に北上していることが確認されており、2100年には北海道まで拡大すると予測されています。(引用文献*2)

このように、温暖化が進めば、自然や社会に様々な被害が生じることになりそうです。

引用文献

*1 環境省・気象庁「日本国内における気候変動予測の不確実性を考慮した結果について」
*2 気象庁 気候変動監視レポート2019(気象庁)
*3 環境省 熱中症予防情報サイト「熱中症はどれくらい起こっているのか」
*4 気象庁「歴代全国ランキング(気温)」

もっと知りたい人へ

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一般の人から集めた情報などをもとにして作成した日本の「温暖化マップ」を掲載しています。

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