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vol.2 クリーン開発メカニズム(CDM)で実施する吸収源事業の議論開始

今日は、引き続きSBSTAの全体会合で、残りの議題についてその交渉の進め方について話し合われました。議題別にさらなる議論を進めることが決まってる議題もそれぞれの共同議長のもとで議論が始まりました。
SBSTA の全体会合では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)インベントリープログラムの共同議長である平石尹彦氏から、森林などによる温室効果ガスの吸 収・排出量を算定、報告するためのグッドプラクティスガイドラインの検討状況について報告がありました。ガイドラインは、2003年開催予定の第9回締約国会議(COP9)に報告される予定です。
また、食糧農業機関(FAO)から、FAO、IPCC、国際森林研究センター (CIFOR)、国際林業研究機関連合 (IUFRO) が共同で開催した森林に関する定義を調和するための専門家会議についての報告がありました。
マラケシュ合意では、第1約束期間(2008年から2012年)の削減目標の達成に、クリーン開発メカニズム(CDM)のもとで実施する植林、再植林事 業から得られる削減量を使えることになりました。これをうけ、SBSTAでは、第9回締約国会議(COP9)での採択に向けて、以下の点を検討することになっています。

* 第1約束期間のCDM事業として対象となる植林、再植林の定義 (マラケシュ合意によって、京都議定書第3条3項、3条4項で対象となった吸収源活動の定義をそのまま採用するのかどうか)
* 非永続性(植林、再植林された土地が火事になった場合などの扱い)
* 追加性(追加的な活動であることをどのように証明するのか)
* リーケージ(植林、再植林が行われたことによって、別の土地で森林現象が起こった場合の扱いや、このような状況をどのように回避するのか)
* 不確実性(吸収量が過大または過小に評価されていないかどうか)
* 社会経済的影響や環境影響をどのように考慮するか
* マラケシュ合意に記載されている吸収源活動を取り扱い際の8つの原則をどのように考慮するか

今回のSBSTAでは、これらの検討項目をどこがどのように決めるかという権限事項(タームズオブリファレンス/TORと呼ばれる)と、今後の行動計画 について検討することになっています。しかし、4月7日から9日までイタリアで開催されたワークショップでの検討結果を踏まえ、直ちに議論を開始し、でき るところからまとめていきたい国と、権限事項と行動計画だけをまとめればよいと考える国との間で意見が対立しました。結局、詳細な議論は、17:00から議題別に開催される会合で、共同議長のもと行われることになりました。
17:00からの議題別の会合では、結局イタリアでのワークショップでまとめた検討項目の権限事項(TOR)と行動計画を今回の議論のベースとするかどうかでもめ、議論はあまり進みませんでした。
CDMの会議の前に15:00から排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査(議定書第5条、第7条、第8条)についての議論が再開されました。今日の 議題は、京都メカニズムへの参加資格が停止された場合、その資格を回復するための審査手続きをどのように設計するかです。この手続きは、京都議定書第8条 のもとで行われる専門家審査チーム(ERT)による審査手続きに含めることが検討されています。各国が事前に提出した意見をもとに共同議長が作成した手続き案にそって議論が行われ、ERTの作業量を考慮し、毎年各国が提出する排出目録の審査とどう調整するかで意見がわかれました。 

デイリープログラム(英文)  

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