2000年9月15日SB13が閉会しました。それぞれの議論で、最終合意文書案やそのたたき台となる文書がまとめられました。COP6で政治的に決めるべきものがだんだんとはっきりしてきたものの、主要な論点は各国の意見がまとまらず、両論がカッコ入りで併記されたままです。特に京都メカニズム、吸収源、遵守など主要な論点はまだまだ議論が必要な状態にあるようです。
SB13では、10月に非公式会合、COP6会議中にSB13パート2を開催するなどし、実質的な議論を続けることになりました。残された多くの課題を限られた時間のなかでまとめていかなければなりません。
COP6に向けたスケジュール
10.6-8 議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)(ドイツ、ボン)
10.9-11 土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源) 非公式協議(イタリア)
10.12-14 遵守制度非公式協議(インド、ニューデリー)
10.16-18 京都メカニズム非公式協議(インド、ニューデリー)
10.19-22(予定) 条約4.8項、4.9項(開発途上国への支援)(スイス、ジュネーヴ)
10月 閣僚級非公式会合(オランダ)
11.13-24 第13回補助機関会合(SB13)パート2と第6回締約国会議(COP6)(オランダ)
14日のプログラム
10:00 – 13:00 京都メカニズム
10:00 – 13:00 土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)
15:00 – 17:00 技術移転
15:00 – 17:00 遵守制度
17:00 – 19:00 議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)
17:00 – 19:00 条約4.8項、4.9項、議定書3.14項(開発途上国への支援と補償問題)
21:30 – 23:00 キャパシティービルディング
15日のプログラム
10:00−12:00 遵守制度
10:00−12:00 条約4.8項、4.9項、議定書3.14項(開発途上国への支援と補償問題)
12:00−14:00 科学的、技術的助言のための補助機関会合(SBSTA)
・土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)
(FCCC/SBSTA/2000/L.6>PDF 、FCCC/SBSTA/2000/L.6/Add.1>PDF)
・議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)
(FCCC/SBSTA/2000/L.7>PDF 、FCCC/SBSTA/2000/L.7/Add.1>PDF ,2>PDF ,3>PDF )
・技術移転(FCCC/SBSTA/2000/CRP.8>PDF 、FCCC/SBSTA/2000/CRP.8/Add.1>PDF )
・政策と措置(FCCC/SBSTA/2000/CRP.9>PDF )
16:00−17:00 キャパシティービルディング
15:00−18:00 科学的、技術的助言のための補助機関会合(SBSTA)
(上記の続き)
17:30−18:30 実施に関する補助機関会合(SBI)
・資金供与メカニズム(FCCC/SBI/2000/CRP.10)
・COP7の開催地(FCCC/SBI/2000/L.3>PDF )
19:00−22:00 SBSTA、SBI合同会議
・条約4.8項、4.9項、議定書3.14項(開発途上国への支援と補償問題)
(FCCC/SB/2000/CRP.11>PDF 、FCCC/SB/2000/CRP.11/Add.1>PDF )
・遵守制度 (FCCC/SB/2000/CRP.10>PDF 、FCCC/SB/2000/CRP.10/Add.1)
・共同実施活動(AIJ)(FCCC/SB/2000/CRP.12)
・京都メカニズム
(FCCC/SB/2000/CRP.14>PDF 、FCCC/SB/2000/CRP.14/Add.1 Volume.1-4)
・キャパシティービルディング(FCCC/SB/2000/CRP.13>PDF)
非附属書締約国(FCCC/SB/2000/CRP.13/Add.1>PDF)
経済移行国(FCCC/SB/2000/CRP.13/Add.2>PDF)
ピックアップ -インタビュー[COP6への展望と期待、そして市民の役割]-
環境庁 地球環境部長 浜中裕徳氏
各グループで最終合意文書案ができ、形式上では進んでいますが、多くの論点で意見の対立が残っているなど、実質的な部分ではたくさん問題があります。多くの国が心配しているのは、京都メカニズムの交渉が進んでいないことです。今回各国から出された追加的な意見を含めた、163ページもある文書がまとめられました。しかし、このままではCOP6でまとまらないのではないかと懸念しています。10月にインドのニューデリーで非公式会合が開催されますが、こうした機会を使ってCOP6で合意を得る事項をしぼり、まとめていかなければなりません。議長にリーダーシップを発揮してもらわなければまとまらないでしょう。
ベルリン(COP1)から5年たちます。残された課題は多いですが、ハーグでのCOP6で大きな弾みをつけて、2002年までに議定書を批准し、発効しなければなりません。今、モメンタムを最大限高め、COP6を成功させ発効させないと京都議定書の効力はなくなってしまうといってよいでしょう。是非、COP6を成功さたいと思っています。そのためには、環境庁としても最大限の努力をしていかなければないと思っています。市民の方々にも、できるだけこの問題に関心をもっていただいて、COP6を成功させるための世論を盛り上げていただきたいと思います。
(財)地球環境戦略研究機関 気候変動プロジェクトリーダー 西岡 秀三氏
COP6が成功するかどうかむしろ焦りがあります。議論が十分つまっておらず、COP6の最後に各国の大臣たちが合意できる条件ができていないように思います。特に、京都メカニズムと吸収源の交渉は遅れており、SB13最終日の前日というのに各国がそれぞれの意見をただ述べているだけのように思います。COP6に向けていささかの不安を感じています。COP6では、なんとしても合意をし、一歩進んでもらわなければなりません。残された期間にできるだけ議論をつめてほしいと思います。
(財)電力中央研究所 主任研究員 杉山大志氏
COP6の結果をふまえて、日本政府は京都議定書の批准、発効を目指しています。批准するということは国会をとおす分けですから、国民ひとりひとりへの負担が具体的にはっきりわかる形にする必要があります。このためには、今SB13で行われている議論の主な争点である京都メカニズム、シンク、遵守システムなどについて具体的な結論が得られることが必要です。国際的および国内的な制度が抽象的なまま、批准され国会で承認されることになるのであれば、民主主義のあり方として問題があると思います。国民の皆さんも、どのようなかたちで地球温暖化対策を進める場合にも、自分にもお金や不便さといった形で負担がかかるということを理解する必要があると思います。
気候ネットワーク 代表 浅岡美恵氏
条約交渉の困難さは今にはじまったことではなく、気候変動が加速してきている現実をとらえ、交渉をしていかなければならないと思います。残念ながらCOP6までの2ヶ月の間で多面的で、複雑な問題の議論を進め、合意点をみつけられるかどうかは、微妙な状態にあると思います。なんとしてもCOP6を成功させなければなりません。日本はCOP3の議長国としてその義務があると思います。日本政府だけではなく、日本の市民にもその名誉な義務があると思います。過去の交渉を振り返ってみても、各国のこの問題に対する市民の意識、国内の取り組みがその国の交渉に対する姿勢に大きく反映しています。COP6に向けた交渉における日本政府の姿勢の裏には、環境問題をあまり重視していない社会システムや国民の意識の低さなどがあると思います。私たち市民ひとりひとりの仕事はこの問題に関心を持ち、国内での地球温暖化対策を少しでも進展させていくことだと考えます。