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vol.5 第1週目の交渉の進捗状況

京都メカニズムや遵守制度などいくつかの議論については、最終合意文書のたたき台のようなものができています。しかし、すべての国の提案がそのまますべて掲載されていたり、最終合意文書に近い形になっていても各国の意見が分かれている部分については、さまざまな意見がカッコ入りで残されていたりしています。できるだけたくさんの論点について、少しでもカッコ入りの文章のない最終合意文書案をまとめることができるかが第2週目の課題です。

京都メカニズム

UNFCCC/SB/2000/4の文書に沿って議論を開始しました。共同実施(JI)に関するページをすべて一読し、クリーン開発メカニズム(CDM)の議論に入りました。第2週も引き続き議論を進めていきます。

土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)

各国が8月1日に提出した意見をまとめた文書FCCC/SBSTA/2000/9を一読しました。第1週の議論をふまえ議長がまとめた10ページの最終合意文書のたたき台FCCC/INFORMAL/74が配布されました。「森林」、議定書の3条3項で定められている「植林、再植林、森林減少」などの定義、議定書の3.4項より、第1、第2約束期間のそれぞれで含められる追加的な活動、カウント方法などについてそれぞれの意見をふまえたオプションがまとめられています。第2週はこの文書をもとに議論を進められます。

遵守制度

UNFCCC/SB/2000/7の文書に沿って、議論を開始しました。 SB13では、遵守制度の「促進的」「強制的」の2つの機能の構造や手続き、構成メンバーなどを中心に決議をまとめています。月曜日には、この部分について第1週の議論をふまえた新しい議長による最終合意文書案が配布されます。第2週はこの文書をもとにさらなる議論が行われる予定です。最終的に約束を守れなかった国に対する措置についても、UNFCCC/SB/2000/7の文書に沿って、意見交換が行われましたが、最終的な議論は、 10月にニューデリーで開催が予定されている非公式協議で行われることになっています。

排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査

議定書7条の排出目録や国別報告書などで報告すべき情報やタイミング、報告頻度に関するガイドラインについて、8月に各国が提出した意見をまとめた文書 Informal Paper No.10(2000)にそって議論が行われました。その後、第1週目の議論をふまえた新しい最終合意文書案Informal Paper No.10(2000)rev.1が議長から配布されました。 この文書をもとに引き続き議論が2週目も進められます。

開発途上国への支援と補償問題

議長の最終合意文書案 FCCC/INFORMAL/66をもとに、議論が進められています。第1部は、気候変動の影響を受ける国への支援(条約4.8項)、第2部は、附属書I 締約国が条約の約束を守るために実施する対策によって経済的な悪影響を受ける国への補償(条約4.9項)、第3部は、附属書I締約国が議定書の約束を守るために実施する対策によって経済的な悪影響を受ける国への補償(議定書3.14項)といった構成になっています。月曜日には、第1週の議論をふまえた新しい最終合意文書案がでてくる予定です。現在、第1部、第2部と第3部とで決議を別々にするかまとめるかで大きな議論となっているようですが、第2週目は、その議論をひとまず横に置き、中身をつめる作業をしていくようです。

キャパシティー・ビルディング

東欧などの旧社会主義国(経済移行国)と開発途上国について別々に議論が行われています。経済移行国については、議定書の5条、7条、8条をきちんと実施するための支援に関する議論が進んでいます。開発途上国に関しては、議長による最終合意文書案にそって議論が進められています。

技術移転

条約の4条5項にかかれている技術移転を実質的、効果的に実施するしくみについて議論が続けられています。開発途上国は、5年間議論を続け、いまだにどういったニーズがあるか評価している段階にあることに懸念を示しています。第 1週の初めに出された最終合意文書案に沿って議論が行われています。

政策と措置

議長から出された政策と措置の優良事例(ベストプラックティス)に関する最終合意文書案のたたき台が提出されました。継続して、2週目も議論が進められます。

8日のプログラム

10:00 – 12:00 議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)
10:00 – 13:00 条約4.8項、4.9項、議定書3.14項(開発途上国への支援と補償問題)
12:00 – 14:00 キャパシティー・ビルディング  (経済移行国)
15:00 – 17:00 土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)
15:00 – 17:00 京都メカニズム
17:00 – 19:00 議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)
17:00 – 19:00 キャパシティー・ビルディング(非附属書締約国)
19:30 – 21:00 技術移転
19:30 – 21:00 遵守制度

9日のプログラム

10:00 – 12:00 土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)
10:00 – 13:00 遵守制度
12:00 – 14:00 京都メカニズム
15:00 – 17:00 土地利用、土地利用変化と林業(いわゆる吸収源)
15:00 – 17:00 技術移転
15:00 – 19:00 議定書の5条、7条、8条に関するガイドライン(排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査)
17:00 – 19:00 キャパシティー・ビルディング  (非附属書締約国)

ピックアップ -日本政府のブリーフィング-

日本政府のブリーフィングがオブザーバー参加している日本の業界団体、研究機関、NGOにありました。SB13日本政府代表団の各議論の担当者から第1週目の交渉の様子や進捗状況などについて報告がありました。環境NGOから、8月に日本政府が提出した意見やSB13での議論に対する日本政府の考え方など吸収源に関する質問が集中しました。
 
(写真左:環境NGOの質問に答える日本政府の交渉担当者)
(写真右:それぞれの担当の議論について話す日本政府(左から通産省、環境庁、外務省)の交渉担当者)

2000年9月8日の「Fossil of the day (今日の化石賞)」

 一位 EU
受賞の理由 「議定書7条の排出目録や国別報告書などで報告すべき情報に関する議論で、国内でどういった政策と措置を実施しているかを報告することに反対したから。」
二位 ニュージーランド、スウェーデン、フィンランド、アメリカ
受賞の理由 「8月1日の3条3項、4項に関する意見と国別データ提出で、森林による大幅な吸収を見込める提案をしたから。」

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