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No.2 「共有のビジョン」で意見の対立 - 会議1日目 –

ポズナニ会議の初日、朝にCOP14、CMP4が開会し、午後に2つの補助機関会合と2つの特別作業部会が開会しました。

共有のビジョンの議論が紛糾
昨年のバリ会議で議長を務めたインドネシアのウィトラル議長は、ポズナニ会議がバリからコペンハーゲンへの重要な架け橋となると指摘しました。また、COP14の議長に就任したポーランドのノヴィツキ環境大臣はポズナニ会議のカギとなる目標は「共有のビジョン(shared vision)」を明確にすることだと述べました。
共有のビジョン」という交渉テーマは、COP13で合意されたバリ行動計画に由来しています。バリ行動計画は、2009年に次期枠組みの合意をするために、地球規模での温室効果ガス排出削減の長期目標を含む、長期的な協力行動に関するビジョンを共有するとしています。いつまでに地球全体でどれくらいの温室効果ガスを減らすのか、そのイメージが各国によって共有されると、次期枠組みがどんなものであるべきなのかが少し見えてきます。
しかし、その共有のビジョンについて、午後のAWG-LCAで論争が起きました。
AWG-LCAのマチャド議長(ブラジル)は、今回のポズナニ会議で共有のビジョン、緩和、適応、技術と資金、合計4つのコンタクトグループ(非公式の会議)を設置することを提案しました。しかし、アルジェリアやサウジアラビアなどの途上国が「共有のビジョンについてコンタクトグループを設置するのは時期尚早」と異議を唱え、会議場は一時騒然となりました。日本やEUなどの先進国は、2008年8月にガーナのアクラで開催されたAWGですでにコンタクトグループを設置することに合意をしたはずだと主張しました。しかし、決着がつかなかったためAWG-LCAを中断することになりました。
その後非公式の協議が行われた結果、コンタクトグループの開催を予定より少なくすることになり、1回(90分)だけ開催することが決まりました。この議論をベースに先進国の削減目標や途上国の取り組みについて議論していかなければならないことを考えると、今回の1回90分のコンタクトグループで不十分だという会議参加者もいます。

このように、会議の初日から地球温暖化をめぐる国際交渉の難しさが表面化しました。あと2週間で、2009年末までに次期枠組み合意ができるような効果的な交渉スケジュールを作成しなければなりません。厳しい交渉になりそうです。

経済危機を乗り越えて
昨今の世界的な経済危機をうけて、「経済不況の回復を待ってから気候変動の対処をするというわけにはいかない」(EU代表のフランス)、「気候変動への対応は、環境と経済の両方の観点から見て正しい選択だ」(ポーランドのトゥスク首相)などの発言がなされました。このように経済危機を乗り越えて地球温暖化問題に立ち向かっていかなければならないという意思は様々な国によって示されています。経済危機の真っ只中で温暖化対処のための資金を捻出するのは簡単なことではありませんが、世界190カ国が集まるこの会議で、気候変動への対応は、経済危機の中を乗り越えるチャンスととらえ、温暖化対策を強化していくというメッセージを世界に発信されたことはとても重要です。

COP14初日の会議の様子 (c)Masayoshi Iyoda
COP14初日の会議の様子 (c)Masayoshi Iyoda

コラム ユースとポズナニ会議
COPは、ベテランの政府代表者だけのものではありません。世界各国から、地球温暖化問題に関心をもち様々な活動をしているユース(10代、20代の若者)がCOPに参加するためにポズナニに集まっています。
COP14開幕直前の11月29日、30日にはポズナニ市内の大学で、ユース国際会議(International Conference of Youth)が開催され、各国のユースが活動経験を分かち合うとともにCOP14会期中にどんなアクションを起こすのかを議論しました。
COP14初日の朝、会議場の入り口では早速ユースが温暖化への対処を求めてアピールを行っていました。

ユースによるアピール「一緒に未来を救おう!」 (c)Masayoshi Iyoda
ユースによるアピール「一緒に未来を救おう!」 (c)Masayoshi Iyoda

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