本会議と並行して、世界各国から集まっている研究機関やNGOなどが様々なサイドイベントを開催しています。
持続可能な開発のための低炭素社会を目指すグローバルチャレンジ(NIES)
11月8日(水)11:15〜は国立環境研究所(NIES)が、環境省と英国環境・食糧・農村地域省(UK DEFRA)との共催でサイドベント「持続可能な発展のための低炭素社会を目指すグローバルチャレンジ(Global Challenges Toward a Low-Carbon Society Through Sustainable Development」を開催しました。
「低炭素社会を構築するためには、先進国のみならず開発途上国でも実行可能な低炭素社会の構築に向けた方策を見いだす必要があります。2006年6月に東京で行った日英低炭素社会ワークショップの成果を中心に、中国、英国を含む複数の地域の研究者によるプレゼンテーションとパネルディスカッションで実現可能な方策を話し合います。」
(NIES報道発表2006/10/26より抜粋)
環境省の谷津審議官から開会挨拶が寄せられた後、国立環境研究所の西岡秀三理事が本サイドイベントの目的を説明し、持続可能な発展を実現させるために低炭素社会を実現することが重要であるとのメッセージを述べました。
低炭素社会へ移行していくには、どんな戦略オプションがあるのでしょう?持続可能な発展とはどう政策統合すればよいのでしょう?壇上のスクリーンには1900年から2100年まで地球の気温がどんどん上昇していき、地球全体が真っ赤に染まっていく地球シミュレータによるシミュレーション画像が映し出され、これから始まるプレゼンテーションに大きな期待が寄せられる演出となっていました。
西岡理事
基調講演ではインドのシュクラ教授が開発と気候変動の問題を一緒に考える必要性としてインドの事例を挙げました。国立環境研究所の藤野博士のスピーチではAIM(アジア太平洋統合モデル)を使ったシナリオを紹介し、2050年に温室効果ガスの排出量を70%削減することは可能だがそのための1.目標設定、2.ビジョン、3.トレンド・ブレークの必要性について解説がされました。続いてサイドイベントの共催者でもあるイギリスDEFRAのワリロー氏からは、様々な主体の参加、包括的な政策、強力なリーダーシップなど、持続可能な低炭素社会の実現のキーとなる点についてのスピーチが行なわれました。
続くパネルディスカッションの話題提供として、南アフリカ・ケープタウン大学のムワカソンダ氏、ドイツ連邦環境庁のヴァイス氏、そして中国のエネルギー調査研究所のケジャン氏のスライドを使用したプレゼンテーションが行なわれ、各国での低炭素社会の実現に向けた取り組みが紹介されました。
こうしたスピーチ、プレゼンテーションに対して会場からは興味深いコメントや質問が寄せられ、パネリストとのオープンディスカッションも充実した内容となりました。
会場となったICRAF(世界農林業センター)は、COP12の本会議場からは歩いて10分ほどかかるにも拘らず、部屋には立ち見が出るほどの混雑ぶり。地球温暖化問題の解決と持続可能な発展とをどう両立すればよいのかというプロジェクトの研究課題に対して、多くの人々が関心を寄せ壇上のスピーチに聞き入っていました。
サイドイベント後には中庭に場を移し、ランチボックス片手に専門家と参加者とで議論が交わされていました。
和やかな雰囲気で議論を交わす藤野博士と参加者
・国立環境研究所のサイドイベント開催報告
・サイドイベントで使われたプレゼンテーションデータはこちらからダウンロードできます
(英文、ページ中ほどの”All Slides Download”という緑色のアイコンをクリックしてください)
・脱温暖化2050プロジェクトのサイトはこちら
・AIM(アジア太平洋統合モデル)のサイトはこちら
持続可能な発展のためのCDM−夢か現実か−(IGES)
11/8(水)18:30からはナイロビの中心部にあるヒルトンホテルに会場を移し、地球環境戦略研究機関(IGES)によるサイドイベント「持続可能な発展のためのCDM−夢か現実か−(CDM for Sustainable Development – Dream or Reality?)」が行なわれました。
IGESは2003年10月からアジアの様々な国々でCDMプログラムの強化支援プロジェクトを行なっています。このサイドイベントでは今までのプロジェクトから明らかになった点をまとめ、CDMのゴールに対してどれくらいの成果が得られたのかについて考察が行なわれました。
パネルディスカッションでは、CDMプロジェクトから得られる持続可能な発展の利益について、いかに利益を向上させるかというオプションについて議論が深められました。
・IGESのCOP12特設ページ
今回のCOP12はナイロビの治安が悪いため、全ての会議を午後6時に終了させることがUNFCCC事務局及びケニア政府から周知されています。今のところ会議はほぼ予定通り終わっていますが、夜のナイロビ市内は特に危険と言われていることもあり、参加者はみなホテルから外出することもなく過ごしているようです。
そのため今回ヒルトンホテルで夜に行なわれるサイドイベントに人が集まるのかと事前に心配されていたようです。しかし!扉を開けてみると会場には立ち見の方が大勢。200名を超えるほどの参加者が集まっていました。参加者はみな熱心にプレゼンテーションを聴いており、CDMプロジェクトへの関心の高さを示していました。
満員の会場
サイドイベントの様子
COP12・COP/MOP2期間中に開催されているサイドイベントの様子はウェブサイト上でもご覧いただくことができます。カナダの持続可能開発研究所(IISD)では今回の会議の様子をEarth Negotiations Bulletin (ENB・英文)として毎日報告しています。
2006/11/8付けENBのサイドイベント特集ではNIESのサイドイベントも取り上げられました。