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No.3 次期枠組みをどうするか?各国の姿勢が明らかに 2006/11/8-1

ナイロビは今日も朝から雨で肌寒いお天気です。しかし昼間は晴れ、色鮮やかな花が真っ青な空に映えていました。

国連ナイロビオフィス(UNON)内はよく手入れされている。芝生も青々とし花もきれいに植えられ、まるで公園のよう。

会議も3日目となり、国同士が率直に意見をぶつけ合い交渉をすすめる会合なども始まっています。
・11/8(水)のデイリー・プログラム(英文)

目次

次期枠組みについて

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は第2次評価報告書で「大気中のCO2濃度を現状で安定させるには、直ちにCO2排出量を50〜70%削減しなければならない」としています。これに対して京都議定書が第1約束期間(2008〜2012年)で削減しようとしているのは1990年比5.2%に過ぎません。もちろん、京都議定書は世界で初めて国際社会が協力して温室効果ガスの排出量を削減しようと具体的に定めたものであり、その価値は高く評価されています。しかし、世界各地から地球温暖化による深刻な影響がすでに起こっていると続々と報告されている中、5.2%という数値に対して、影響をすでに受けつつある国々からは見直しが必要だという声が上がっています。
NGOはCOP12・COP/MOP2の開会にあたってそれぞれの姿勢を明らかにしています。削減目標の大幅な見直し、約束期間の見直し、途上国の次期枠組みへの参加など、議論が十分に交わされ検討されるべき点を挙げ、次期枠組みをより実効性の高いものにすべきと主張しています。
 ・気候ネットワーク「ナイロビ会議で何が話されるのか?」
 ・CASA「2013年以降の制度設計に確かな歩みを!」
 ・WWF「ナイロビ会議での優先事項:2013年以降の次期枠組みへの道筋をつける」

次期枠組みを議論するプロセス

2013年以降、つまり京都議定書の第1約束期間終了後、どのような枠組みでグローバルな気候変動対策を進めていくかは、COP/MOP1から始まりCOP/MOP2で前進させるべき議論の1つです。検討は以下の3つのプロセスで行なわれています。
 ・条約に基づき設置された「対話(ダイアログ)」
 ・AWG(京都議定書第3条9項に基づいて話し合われる)
  ・COP/MOP(京都議定書第9条に基づく議定書の見直し)
(次期枠組みの検討プロセスについては気候ネットワークのページをご参照ください)

AWGでの議論

前日のAWGで行なわれたワークショップを受け、午後のAWGでは京都議定書第3条9項に規定された将来枠組みについて議論を行ないました。とはいえ京都議定書を批准している166の国が集まっているため、予定された時間の大部分は各国が将来枠組みに対する姿勢(考え)を述べることに費やされました。
【京都議定書3条】
9 附属書に掲げる締約国のその後の期間に係る約束については、第21条7の規定に従って採択される附属書Bの改正において決定する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議は、1に定める一回目の約束期間が満了する少なくとも7年前に当該約束の検討を開始する。
*「附属書」とは気候変動枠組み条約の附属書のこと。環境省のページでご覧いただけます。
*「附属書B」とは京都議定書の附属書Bのこと。外務省のページでご覧いただけます。
各国の主張はENBのデイリーレポートにまとめられています。

次期枠組みに関する論点は次のようにまとめられます。
・温室効果ガスの排出削減目標
  附属書国は引き続き削減目標を持つのか?
  持つ場合、どれくらいの数値にするのか?
・途上国(非附属書国)の扱い
  途上国は次期枠組みで削減目標を持つのか?
・交渉期限
  2008年までに次期枠組みに関する議論を終えるのか?
  明確な交渉期限は決めずに進めるのか?
・次期枠組みの内容
  第1約束期間終了後、即時第2約束期間を始めるべきではないのか?
  柔軟性措置(京都メカニズムなど)の扱いはどうするのか?
  削減目標に対する法的拘束力、遵守制度などはどうするのか?
  第2約束期間はどれくらいの長さにするのか?
・科学的基礎知識について
  ワークショップをもっと持つべきではないのか?
  IPCC、IEAなどの外部専門家団体からもさらに多くの情報を提供してもらうべきではないのか?

日本は西村地球環境特命大使が以下のような内容で発言をしました。
・次期枠組みの交渉期限を2008年までに終えることは、どの国が加わるかまだ不明なため反対。
・京都議定書3条9項は附属書Bの改正をするとしている。柔軟性措置(京都メカニズムなど)の議論が出ているが、この議題のもとで話す議論は附属書Bに絞るべきでは。(2006/11/9日本時間午後7:30一部修正)

また小島嶼国連合(AOSIS)やバングラデシュ、ナイジェリアなどの国々からは「地球温暖化による影響はすでに起こっている。我々は地球温暖化の影響に対して脆弱なため、大きなダメージを受けてしまう可能性がある」との発言がありました。こうした国々は地球温暖化によるダメージを最小限に抑えるためにも、次期枠組みの話し合いを実効性のある内容でできるだけ早くまとめ、具体的な行動へ移るように要望しています。
そのほかにも、次期枠組みについては3つの検討プロセスがあります。話し合われた事項をどうまとめていくかも、今後議論が進む過程で課題となるでしょう。
ENBのサイト(英文)では写真入りで会議の様子をご覧いただけます。

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