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vol.10 京都メカニズムの運用ルール案全てまとまる

京都メカニズムの1つであるクリーン開発メカニズム(CDM)のもとで行うことができる2種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」を実施するための運用ルール案がまとまりました。これで、京都メカニズムの運用ルール案が全て決まったことになります。

CDMのもとでの行う2種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」を実施するための運用ルール案
Land Use, Land-Use Change and Forestry: Diffinitions and Modalities for Including Afforestion and Defforestation Activities Under Article 12 Of The Kyoto Protocol
FCCC/SBSTA/2003/L.27(>PDF)PDF (英文)

* 「再植林」の定義  
マラケシュ合意と同じ1989年12月31日の時点で森林ではなかった土地に植林を行うことと定義を採用しました。

* 非永続性(新しく植林、再植林された土地が伐採されたり、火事になったりした場合、クレジットをどう扱うのか)  
CDMのもとで行う「新規植林」「再植林」事業によって得られるクレジットは、新しく植林・再植林された土地が伐採されたり、火事になったりした場合などを想定し、以下の2種類のクレジットを発行することとなりました。事業者は、以下の2つから選択することができます。
1. 約束期間内有効なクレジット(tCERs:Temporary CERs) を発行する
tCERsは、そのクレジットが発行された約束期間(5年間)内有効で、削減目標の達成に使うことができます。しかし、クレジットの効力がなくなる時(5 年後)、国内のエネルギー起源の温室効果ガス排出削減で得たクレジット(AAUs)、国内の吸収源事業で得たクレジット(RMUs)、共同実施のもとで行うエネルギー起源の温室効果ガス排出削減で得たクレジット(ERUs)などと差し替えなければなりません。また、約束期間内に削減目標の達成などに使わず余ってしまったクレジットは、次の約束期間に繰り越すことはできません。
2. クレジット発行期間内有効なクレジット(lCERs:Long-term CERs)を発行する。
lCERsは、5年ごとに行われる検証などで問題がなければ、そのクレジットが発行されたクレジット発行期間(最大60年)内有効で、削減目標の達成に使うことができます。しかし、クレジットの効力がなくなる時(最大60年後)、国内のエネルギー起源の温室効果ガス排出削減で得たクレジット(AAUs)、国内の吸収源事業で得たクレジット(RMUs)、共同実施のもとで行うエネルギー起源の温室効果ガス排出削減で得たクレジット(ERUs)などと差し替えなければなりません。また、一度発行されたクレジットで約束期間内に削減目標の達成などに使わず余ってしまったクレジットは、次の約束期間に繰り越すことはできません。

* 遺伝子組み替え生物や侵入外来種による植林・再植林を認めるかどうか
CDMのもとで遺伝子組み替え生物や生物多様性を脅かすような植物による「新規植林」「再植林」を規制するルールはできませんでした。ただし、この議題に関するSBSTA19決定の前文で、事業を実施する国(途上国)は国内の法律でその危険性について評価を行うこと、また、事業に対して投資をする国もしくはそれらの事業から得たクレジットを削減目標の達成に使用する国(先進国)は国内の法律でその使用について評価を行うことを確認しています。また、運用ルール案には、事業者はCDM理事会に提出する事業設計書のなかで、生物種などについて明記することとされています。

* 簡素化した手続きが適用される小規模プロジェクトを認めるかどうか  
CDMのもとで行った「植林」「再植林」にも、簡素化した手続きが適用される小規模事業の実施が認めらました。小規模事業は、CDMのもとで行う「植林」「再植林」によって得られる吸収量が年間8千トン(二酸化炭素換算)以下のこととされました。具体的にどのような手続きにするかは、第20回科学的、技術的な助言に関する補助機関会合(SBSTA20)で検討することとなりました。

* 環境評価と社会的影響評価に関し国際的な基準を設けるかどうか  
事業者は、CDMのもとで「新規植林」「再植林」事業を実施する際、作成する事業設計書に以下のような情報を明記しなければなりません。エネルギー起源の温室効果ガスを削減するCDM事業を実施する場合に比べ明記すべき情報は少し多くなっています。
・事業実施予定の土地の所有権に関する情報
・その事業が、事業実施予定の地域の生物多様性や生態系をはじめ環境にどのような影響を与えるか
・その事業が、事業実施予定の地域以外の生物多様性や生態系をはじめ環境にどのような影響を与えるか 
・その事業が、事業実施予定の地域やその地域以外に住んでいる人たちの社会や経済にどのような影響を与えるか

23:30頃、第19回科学的、技術的な助言に関する補助機関会合(SBSTA19)は、クリーン開発メカニズム(CDM)のもとで行うことができる2 種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」を実施するための運用ルール案を含む全ての議題に関する決定とまとめを採択し、終了しました。

デイリープログラム(英文)

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ピックアップ 

イベント 国際気候シンボル ファッションショー 

国連環境計画(UNEP)、オランダ政府、WWF、グリーンピースが共同で国際気候シンボル(International Climate Symbol)を広報するため、ファッションショーを開催しました。
国際気候シンボルは、今年6月に開催された第18回補助機関会合で発表されたもので、 地球温暖化問題の普及・啓発や温暖化対策として省エネや自然エネルギーの推進を行っている非営利の団体であれば誰でも、ウェブサイトや出版物などに使うことが出来ます。
このシンポルを目印に、効率的に市民が地球温暖化問題に関する情報にアクセスし、この問題に対する理解が広がることが期待されています。

シンボルは、International Climate Symbolウェブサイト からダウンロードできます。
ファッションショーのはじめに、第9回締約国会議(COP9)のミクロス・ぺルザ二議長が登場し、このシンボルを通じて、より多くの人に地球温暖化問題を知ってもらいたいと話をしました(写真右)。

アムステルダムファッション研究所に所属する4人のデザイナーが、このシンボルをモチーフにしてデザインした洋服を発表しました。
音楽にのり、斬新なデザインの洋服を着たモデルが次々に登場すると、会議場は一気に華やかな雰囲気に包まれました。(写真下)

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