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vol.6 ゆっくり進む各議論

議題別の会合で本格的な議論が始まりました。

(1)先進国から途上国への資金供与メカニズムとしてCOP7で新しく設置することが合意された「特別気候変動基金」を運営するための手引き
特別気候変動基金は、COP7で採択されたマラケシュ合意にもとづき新しく設立された3つの基金のうちの1つで、地球温暖化の悪影響など変化に適応して いくための措置や技術移転などに資金供与することになっています。この基金の運営は、GEF(地球環境ファシリティー)が行うことになっており、GEFに対し運営の手引きをCOP9で決定することになっています。
GEFなどの既存の資金供与メカニズムで行われる活動や他の2つの基金(最貧国基金や適応基金)のもとで行う活動とどう住み分けを図るのか、どういった活動を優先的に特別気候変動基金のもとで行うのかなどについて運営の手引きに関する議論をしています。
(2)京都メカニズムの1つであるクリーン開発メカニズム(CDM)のもとで行うことができる2種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」
各国から提案を聞きまとめたCDMのもとで行う2種類の吸収源活動「新規植林」「再植林」の実施ルール案が議長より配布されました。議論がまとまってい ない点について、各国がさらに小さいグループに分かれ交渉を行い、明日の朝に開催される会合でその進捗状況を報告することとなりました。
大きな論点は以下のとおりです。

* 「再植林」の定義
マラケシュ合意では、先進締約国が国内や共同実施(JI)で行う「再植林」を、1989年12月31日の時点で森林ではなかった土地に植林を行うことと 定義しています。CDMは途上国で行われる事業であることを考慮し、マラケシュ合意の定義よりも遅い基準年(日本やカナダは、2000年を提案)を採用す るのかどうか議論しています。

* 非永続性(新しく植林、再植林された土地が伐採されたり、火事になったりした場合、クレジットをどう扱うのか)
CDMのもとで行った「新規植林」「再植林」によってできた森林などが伐採されたり、火事になったりした場合、吸収源(森林など)が存在しないのにその クレジット(吸収量)が有効となってしまうという問題が起きてきます。そのような場合のクレジットの扱いについて以下のような2つの提案が出されています。
1.期限付きのクレジットをまず発行する。(EU提案)
2.保険会社が保有するCERで損失分をで補てんする。(カナダ提案)

* 遺伝子組み替え生物や侵入外来種による新規植林・再植林を認めるかどうか
遺伝子組み替え生物や生物多様性を脅かすような植物による「新規植林」「再植林」について、何らかの規制を設けるかどうか議論しています。

* 簡素化した手続きが適用される小規模プロジェクトを認めるかどうか
マラケシュ合意では、エネルギー起源の二酸化炭素を削減するCDM事業は、再生可能エネルギーの利用などについて簡素化した手続きが適用される小規模事業 の実施が認められています。CDMの「新規植林」「再植林」についても簡素化手続きが適用される小規模事業を認めるかどうか、認めるとするとどういう事業 を小規模事業とするのかなどについて検討しています。

* 環境評価と社会的影響評価に関し国際的な基準を設けるかどうか
マラケシュ合意では、エネルギー起源の温室効果ガスを削減するCDM事業について、事業を実施する国が環境影響評価と行うこととなっています。「新規植 林」「再植林」は、生物多様性や地域の人々の生活に大きな影響を及ぼすことが予想されるため、環境評価と社会的影響評価に関する国際的な基準も設けるかど うか検討しています。

デイリープログラム(英文) 

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