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vol.3 どうなる「デリー宣言」?? COPで内容について意見交換

COP8の成果はどうなるのか−3日目に入り、締約国会議(COP)は、25日午後3時から、COP8の成果となる「デリー宣言」の内容について非公式な意見交換を行いました。「ヨハネスブルク行動計画」など、持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)の成果を踏まえて、温暖化と持続可能な開発の相互連関に焦点を当てて実施を重視した宣言文を採択することを提案したバール議長(写真右 Photo Courtesy of IISD /ENB-Leila Mead)に、多くの国々が賛成しました。
いくつかの先進国は、「デリー宣言」を第2約束期間(2013年)以降におけるより幅広い参加とより大幅な削減目標の必要性を強調する前向きな宣言とす ることを支持しました。EUやカナダは2013年以降の次の約束期間における取り組みの必要性を主張し、スイスも同年以降の適応策と緩和策の両方に関する 将来の課題についての答えを宣言文に含めたいとしました。また、アンブレラ・グループは、長期的な行動のための対話と適応・緩和措置、情報基盤の整備など を宣言の要素として提案し、アイスランドもこれに賛同しました。そして、EUとアンブレラ・グループは、IPCC第3次評価報告書の結論を宣言文に盛り込 むよう主張しました。一方、スイスは宣言文をしっかりした短いものにしなければならないとしたほか、EUとともに、再生可能エネルギーの増進をうたうべき だと述べました。さらに、EU、日本、カナダは、京都議定書をまだ批准していない締約国にその批准を強く呼びかけ、それを発効させることを宣言文に盛り込 むよう主張しました。また、COP8に向けて9月にニューデリーで行われた非公式会合 でバール議長が「同じ立場に立つことができるように」と語ったことを受けて、カナダは、南北間など締約国同士の対立を克服するために最も必要なのは、信頼醸成だと述べました。
ところが、途上国からは、「共通だが差異ある責任の原則」を強調しながら先進国のこのような意見に対する批判が見られました。まず、ナイジェリアは、途 上国の貧困撲滅を訴えた上で、先進国から条約事務局に提出された第3国別報告書をもとに、宣言文では先進国が率先して気候変動枠組条約を実施することに失 敗したことにふれなければならないと述べました。さらに、サウジアラビアは、カナダが必要だとした「信頼醸成」という概念に対し、今年の5月に条約事務局 に提出された第3回国別報告書にある先進国の排出量データを引用しながら、スペインやポルトガルなどそれらの国々の多くは1990年比で10パーセント以 上も排出量が増大しており、言葉ばかりで条約における約束を実施できていないとして、これを強く批判しました。「同じ立場に立つことができるようにという言葉の意味を誤解している国々がいるのです」と、同国は述べました。
これに対し、EUは、サウジアラビアの一人あたりCO2年間排出量がEU加盟国であるスペインやポルトガルの先進国よりも逆に多いという統計値を紹介し たうえで、「私は以前、父親から教えられました。『ガラスの家に住むのなら、石を投げたりしてはいけない』(If you live in a glass house, don't throw stones)」と述べ、自分がもろい立場に置かれているときは他者を批判するようなことを言うのは、とても危険なことだとしてこれに反論し、会場を沸かせました。
最終的に、「デリー宣言」に関するとりまとめは、非公開の協議の場で継続することになりました。

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