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vol.1 「知恵の明かりを灯して」 COP8、ニューデリーで始まる

10月23日(水)、気候変動枠組み条約第8回締約国会議(COP8)は、重要な催し物を始めるためのインドの伝統である灯火式とともに、予定を30分ほど過ぎて午前10時30分ごろからニュー・デリーで開幕しました。かつて非同盟諸国の会議が行われた会場のビギヤン・バワン会議センター(写真右)には、締約国政府代表やオブザーバーを含めて3,000人を越える参加者が集まり、京都議定書の発効と実施に向けた具体的な作業をさらに詰めようと、交渉を開始しました。
COP8の全体会合(写真下)では、開催国であるインドのT.R.バール環境森林大臣がCOP8の議長に選出されました。同大臣は、参加者への歓迎のメッセージの中で、今年の8月から9月にかけて南アフリカのヨハネスブルクで行われた持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)を念頭におきつつ「何がニューデリー会議の焦点であるべきか?(中略)持続可能な開発への道の一つとして、適応措置に重点をおくべきだ。」と述べました。

その後、COP8の議題の審議に入り、前からカナダが提案していたクリーンなエネルギーの輸出を排出量削減のクレジットとすることができる制度の導入を議題に含めるよう発言しました。しかし、これに対し、途上国グループから「それは第17回実施に関する補助機関会合(SBI17)でまだ議論されておらず、COP8で議論に入るのは時期尚早だ。」とする反対意見が出されました。またサウジアラビアからも、前からサウジアラビアが提案していた先進国の温暖化対策による産油国の経済的損失に対する補償を議題に入れてほしいという主張が出ました。これに対し、EUがカナダ案とあわせて不支持を表明したため、意見が対立しました。最終的には、カナダとサウジアラビアそれぞれが提案した2つの議題の採択は保留となりした。また、第4回締約国会議(COP4)から先延ばしされてきた条約の約束の妥当性の第2回検証に関する議題の採択も保留となり、非公式協議の場で、これら採択保留となった3つ議題をどうするか調整することになりました。

COP8の全体会合が12時30分ごろに終了した直後、締約国会議の補助機関会合の一つである第17回科学的、技術的な助言に関する補助機関 (SBSTA17)の全体会合が始まりました。議題が採択されたあと、排出量と吸収量のモニタリング、報告、審査(議定書第5条、第7条、第8条)に基づ くガイドライン、条約附属書I締約国(いわゆる先進国)の温室効果ガスの排出目録の報告と検証に関するガイドラインなどについて話し合われました。具体的な交渉は、議題別の会議をもち、共同議長のもとで議論を進めていくことになりました。
そして、17時から19時までは、第17回実施に関する補助機関(SBI17)の全体会合が開催 され、非附属書I締約国(いわゆる途上国)の国別報告書の作成に関するガイドラインの改善や資金的、技術的支援についての話し合いが行われ、具体的な交渉を議題別の会議で進めていくことになりました。また、附属書I締約国(いわゆる先進国)の第3回国別報告書の内容と審査手続きの検討については、21時過ぎから非公開で会合が行われた模様です。
なお、10月30日から始まる閣僚会合では、3つのセッションからなるラウンドテーブル(円卓会議)の開催が同日午後から31日の午後まで予定されています。そして、その結果を踏まえて、最終日には、「行動のための枠組み」を含んだ政治宣言(デリー宣言)が採択されることになっており、その内容が注目されます。(閣僚会合の在り方を検討した9月30日から2日間ニュー・デリーで行われた非公式会合の概要は、環境省記者発表資料 を参照してください)

デイリープログラム(英文)
COP8ウェブ中継 (英語) COP8やSB17の会議、記者会見の様子をインターネットで見ることができます。

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