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vol.5 議論を巻き起こすロシアと日本の主張

運用ルールの最終的な決定案をまとめるため、各国が合意に達している文章と作業が、各問題別の非公式会議で進められています。文章の表現などで対立している問題は非公開の草案作成グループで、事務レベルで妥協ができる問題は関係国による非公開の協議グループでさらなる作業が進んでいます。

遵守制度

情報公開
締約国に対して遵守委員会で検討段階の情報も公開することに合意されました。しかし、検討段階の情報も一般に公開することについては、ロシアが反対し、一般への情報公開は最終決定でてはじめて公開するという文章に変えることを提案しています。また、ヒヤリングを一般に公開して行うことになっているのです が、締約国が要請すれば、非公式にするという一文を入れ、透明性を弱める動きが強くなってきています。環境NGOからはこの文章で最終決定されると、締約国の遵守に関する情報の公開が制限され、市民が議定書の実施を監視できなくなるのればないのかという懸念の声があがっています。

京都メカニズム 

メカニズムの参加資格
草案には、京都議定書の遵守手続きにしたがうことがメカニズムの参加資格のひとつとなっていますが、それを削除するように日本は強く求めました。ボン合 意では、京都議定書の遵守に関する合意にしたがうことがメカニズムの参加資格とするという文章があります。この一文を削除すれば、大臣たちがまとめたボン 合意の内容を変えてしまうという懸念を共同議長(写真上)が表明し、新しい文章の提案をするように求めました。しかし、日本がその議長の要請を受け入れなかったので、共同議長は、最終的に共同議長が提案した「遵守手続きに関する合意を受け入れること」という文章を採択しました。
Photo courtesy of IISD /ENB-Leila Mead

取引管理方法
また、排出量取引を行うときに各国の取引を管理する方法については、移転したクレジット(排出枠)を移転先の国の割当量に含めるのかどうか(割当量の定 義に関する問題)、吸収源によるクレジットを次の約束期間に貯蓄(バンキング)できるのかどうか、吸収源によるクレジット、共同実施、クリーン開発メカニ ズムなどによるクレジットを全部同じものとして一緒に算入し、管理するのか、別々にするのか、また、それらを削減目標の達成に使う順番があるのかどうかな どが問題になっています。

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