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vol.28 閣僚級会合遂に始まる

午前中にCOP6パート2全体会合が開催されました。まず、気候変動枠組条約と京都議定書の批准の状況について確認しました。現在、条約事務局では、 186カ国による条約の批准と、34カ国による議定書の批准を確認しているという発表がありました。それを受け、バヌアツが7月17日に京都議定書を批准 したと表明、アルゼンチン、セネガル、コロンビア、クックアイランド(7/4)、バングラディッシュも国会で批准の承認するなど続きを進めていると述べました。これで議定書の批准国は40カ国となります。
その後、16日から開催された4つの交渉グループの共同議長からそれぞれの論点について合意のためのオプションを示した文書とその中身について報告が行われました。
また、22日まで大臣がどのような形で議論を進めていくかについては、拡大ビューロー会議をつくりそこで議論することになりました。拡大ビューローには 現在ビューローである11カ国のほかに、5つの地域からブルキナファソ、フィンランド、マレーシア、グルネダ、ロシア、そしてそれ以外に南アフリカ、サウ ジアラビア、コロンビア、ジンバブエ、バヌアツ、ベルギー、欧州委員会(EC)、イギリス、インド、ブラジル、イラン、バハマ、ドイツ、アメリカ、日本、オーストラリア、ポーランド、ハンガリー、スイスが入ることになりました。
午後には閣僚級会合の 全体会合が開催され、各国の大臣がステイトメントを発表しました。 途上国グループ(G77+中国)は、アメリカの京都議定書不支持の姿勢に対して憂慮を示しました。その上で、排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニ ズムについてそれぞれ別の決議を希望すること、温暖化の影響についてもっと認識をもつこと、拘束力のある帰結をもつ遵守制度を支持すること、吸収源についてさらに交渉が必要であることを強調しました。
EUは、環境十全性や、途上国との衡平性と連帯、削減目標達成のための経済効率性と柔軟性をバランスよく持ち合わせた「パッケージ」合意に向けて全ての国と妥協する用意があると発言しました。
日本(写真右ENBより)は、アメリカの参加の重要性を強調したうえで、アメリカとの二国間協議がここでの交渉を遅らせるものではないと述べました。ま た、2002年の発効に向け、日本もできるだけ多くの国が京都議定書を締結できるよう、最大限努力をすると訴えました。アメリカは、気候変動は深刻な問題であると述べ、アメリカの利益に悪影響を与えないものである限り、ほかの国が京都議定書と共に前進することを邪魔をするつもりはないと発言しました。

プログラム (UNFCCC Daily Program)
アースネゴシエーションブレティン(ENB)19日号(英文)

ピックアップ -合意のオプションとは?- 

4つの交渉グループがまとめた文書には、以下のような各論点において大臣による政治的合意が必要な点が洗い出されています。それぞれの論点について合意のオプションが示され、どの合意がよいか大臣たちが22日まで議論することになります。

 ・途上国問題(技術移転、補償問題など)
資金のレベル(金額や資金提供方法について)
技術移転の促進方法について
温暖化の影響を受ける国への支援と温暖化対策によって経済的影響を受ける国への補償についてどのような措置をするか
・京都メカニズム
衡平性
補完性
クリーン開発メカニズムに原発関連事業を含めるかどうか
共同実施の管理委員会
クリーン開発メカニズムの実行機関の構成
収益の一部を適応のために利用するかどうか、その金額と方法をどうするのか
京都メカニズムを実施する適格性を判断するクライテリアの遵守
一カ国が実施する国内で実施するクリーン開発メカニズム事業の扱いについて
クリーン開発メカニズムに吸収源関連事業を含めるかどうか
共同達成(EUバブル)について
途上国(最貧国)への特別なニーズに対する配慮
資金的追加性
クリーン開発メカニズムをどのように地域的衡平性をもって実施するか     
・吸収源
京都議定書の第3条4項に書かれている新しい吸収源として何を認め、それによって生まれる吸収量をどのように算入するか。
クリーン開発メカニズムに関連事業を含めるかどうか
・遵守制度
原則の扱い(条約に定められた原則や共通だが差異ある責任の原則など)
遵守委員会やその下におかれる促進部と履行強制部の構成について
意思決定方法
COP/MOPの役割と上訴手続きの扱い
履行強制部の権限と実施する帰結(法的拘束力のある帰結にするかどうか)
遵守制度の採択方法  

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