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vol.27 日・加・豪が吸収源で新提案

非公開の事務レベル交渉グループが続いています。
17日の吸収源の午後の会合で、日本はカナダ、オーストラリアと一緒に、京都議定書の第3条4項に書かれている新しい吸収源としての森林管理について、これをどのように算入するかについて新しい提案を発表しました。
6月11日発表のプロンクCOP6議長の統合交渉テキストは、第3条4項、共同実施やクリーン開発メカニズムで実施される吸収源事業によって得られる吸収量の合計に一律の上限を設けて制限することを提案しています。削減目標をもっている国はその削減目標の半分まで、例えば日本の場合は6%の削減目標の半分の3%までが上限になります。
しかし、今回の提案は、これらの制限を行わず、以下の条件を考慮し、各国別の上限を設定できるというものです。また、アメリカのように現段階で京都議定書に参加しない国も、将来、いつでも加わることができることを想定した提案になっています。
各国が削減目標に算入できる量を決める際に考慮されるべき条件  
* 国内状況
* 目標達成に必要な削減量
* 必要な削減量における、「森林管理」による吸収量の占める割合
* 国内吸収源を保護・強化するために現在実施されている、及び、今後計画されている「森林管理」の方策
* 第3条3項に定められている1990年以降の直接的で人為的な「新規植林」、「再植林」及び「森林減少」 活動から得られる吸収量が、定められた計算方法によって排出になるかどうか。
この提案は、各国どれだけの吸収量か見込めるのか、数値がだされていません。しかし、各国が上記にあるように「目標達成に必要な削減量」を考慮し、吸収 量の上限を設定できるとなると、日本は、1997年12月地球温暖化防止推進大綱で閣議決定したように6%削減目標のうち3.7%を吸収源で獲得することが可能です。
18日、途上国はこの提案を拒否する意向を示しました。

プログラム (UNFCCC Daily Program)
アースネゴシエーションブレティン(ENB) 17日号(英文)18日号(英文)

ピックアップ -化石賞の受賞が続く日本-  

都議定書の抜け穴を広げるような発言をした国に、NGOから「Fossil of the day (今日の化石賞)」が贈られました。 初日は、ブッシュ大統領が京都議定書不支持を表明したことを受け、アメリカに対し、「Fossil of the century(今世紀の化石賞)」が送られました。COP6パート2では、それをベースとしたうえで、アメリカ以外の国に毎日の化石賞を贈呈することになりました。
 7月17日
一位 日本
受賞の理由:小泉首相がボンでは何も合意がないだろうと発言したことや批准の意思表明をはっきりさせていないこと、吸収源の新提案が交渉の妨げになっていること
二位 カナダ
受賞の理由:クリーン開発メカニズムに原発関連事業を含める主張をしたこと
三位 ナイジェリア
受賞の理由:遵守の議論でアメリカの代理となるような発言をしたから
7月18日
一位 日本・カナダ・オーストラリア
受賞の理由:議論を後退させるような吸収源に関する新しい提案をしたから
二位 ロシア、インド
受賞の理由:クリーン開発メカニズムに原発関連事業を含める主張をしたこと
三位 オーストラリア
受賞の理由:交渉の前に京都議定書をあきらめ、その代替案を提案するためCOP7の前に会議を開催する ことを提案するなどアメリカの操り人形となっているから

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