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vol.23 米・EUで明確化する対立。注目される日本の動き

環境省 京都議定書に関する懇談会開催 「日本の方針を明確にすべき。」

環境省中央環境審議会地球環境部会は、6月8日に 「京都議定書を巡る最近の状況に関する懇談会」を開催しました。当日は川口順子環境大臣も出席しました。
国立環境研究所の森田恒幸委員はアメリカが議定書を批准しない場合でも、京都議定書は温暖化防止には有効で、国際排出量取引制度を活用すれば、経済影響も少ないという試算を発表しました。多くの委員からアメリカのあらゆるレベルへの説得の重要性を確認しつつ、アメリカ抜きでも京都議定書を批准するべきという意見が出されました。一方で、アメリカが今交渉に戻ってこなければ、今後も絶対に批准することはないという懸念を示す委員もおり、活発な意見交換が行われました。
最後に懇談会の議長を務めた浅野直人中央環境審議会地球環境部会長は、 委員から出された意見の共通点として、以下の4点をまとめました。
(1)京都議定書を全く葬りさることはありえない。
(2)アメリカの参加は重要だが、アメリカ不参加のシナリオを検討するべき。
(3)日本の方針を明確に表明し、交渉にのぞむべき。
(4)日本の対策努力をもっと市民に情報発信し、批准のための対策について議論を進めるべき。
(中央環境審議会地球環境部会「京都議定書を巡る最近の状況に関する懇談会」資料 

アメリカの提案発表 「京都議定書には致命的な欠陥がある。」

3月末に京都議定書不支持を表明したブッシュ米大統領は、6月11日に、声明を発表し、地球温暖化の進行速度・程度、その影響については不確実性が高い と述べました。さらに、京都議定書には非現実で達成不可能な目標値や急速な経済発展を遂げている中国やインドに温室効果ガスの削減を義務付けいないなど致命的な欠陥があると、再度強く京都議定書の不支持を表明しました。
アメリカが提案する地球温暖化防止のための国際的枠組みは、地球温暖化を科学的に解明する研究体制の構築、温暖化の原因や影響を解明するモデルのアメリ カ・EU・日本共同開発、国際協力による温暖化防止技術開発の促進といった内容で、京都議定書の枠組みとは全く違った新しいものでした。
ブッシュ大統領のスピーチ (英文)「温暖化対策」中間報告書(英文)

プロンクCOP6議長新しい調停案(統合交渉テキスト)発表 「日本希望の特別条項盛り込む」

プロンク議長は、6月11日COP6パート2で交渉のベースとなる新しい調停案(統合交渉テキスト)を発表しました。この調停案は、全部で190ページ 以上もあり、概要、途上国問題、京都メカニズム、吸収源、議定書の5・7・8条(モニタリング関連)、共同実施活動・政策と措置など、遵守制度の7つの パートに分かれています。
内容の大枠は、4月9日に発表されたプロンクCOP6議長ノートと変わっていませんが、以前から日本が希望していた吸収源の部分で日本に特別に適用され る条項が盛り込まれているのが最も大きな特徴です。日本はこの条項により、4月9日では0.6%しか見込めなかった吸収量が、3%を上限に見込めるように なっています。プロンク議長は、この条項で日本の京都議定書批准を促進するのが狙いのようです。
プロンクCOP6議長の統合交渉テキスト(英文))  

EU・アメリカ首脳会談 「京都議定書とその批准について合意できない。」 

6 月13日にスウェーデンのイエーテボリで開催されたEU・アメリカ首脳会談で、「両国は地球温暖化問題はグローバルな解決を要する重要な課題であることを 認識し、地球温暖化に係る科学と研究に関する協力を強化することが重要であると合意する。」と共同声明を発表しました。しかし、同声明には、「両国は京都 議定書とその批准については、合意できない。」という一文が記載され、アメリカは7月にボンで開催されるCOP6パート2には参加するものの、米国とEUの対立は明確化しました。 
EU・米国首脳会談 共同声明(英文))  
・経団連メッセージ発表 「米抜きの京都議定書批准は、真に有効な温暖化対策にならない。」
国内で、EU各国とともに米国抜きでの議定書発効を目指すべきとの声が高まっていることを受け、6月15日に経済団体連合会の今井会長が、地球温暖化問題に関するメッセージを発表しました。
「世界のCO2排出量の約1/4を占める米国が参加しない地球温暖化対策の枠組みは温暖化防止に実効性を持ち得ない。また、米国の不参加は、途上国が将 来の取組みを拒む論拠となる。日本政府には、米国が参加し、実質的に効果のあがる国際的枠組みとなるよう、引き続き努力を続けていただきたい。」と訴えています。
経団連今井会長メッセージ)  

EU、今年中に京都議定書批准の手続きを整備。「経済に影響を与えず、目標達成も可能」 

スウェーデンのイエーテボリで開かれていたEU首脳会議は、6月16日京都議定書の2002年発効を目指す方針を確認し、今年末までに批准に必要な文書の作成を欧州委員会に要請する議長総括を採択しました。
また、 EUは11日に、排出量取引制度や石油・石炭から天然ガスへの転換、ビル内での省エネなどで京都議定書の削減目標を経済に悪影響を与えることなしに達成できるという報告書を発表しています。
報告書概要記者発表資料(英文)
ルーマニアが4月にすでに批准しており、90年の二酸化炭素排出量が17.4%のロシア(一部報道では近く批准の予定)、24.2%のEUが批准する と、批准国の90年の排出量は、全先進国の排出量の42.8%となります。京都議定書の第25条に定められている2番目の発効要件の55%以上まであと 12.2%です。 90年の排出量が8.5%の排出量日本が批准するかどうかが他の国の批准に大きく作用してくるため、日本が京都議定書発効のカギを握ると言えます。  

 

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