カリキュラム概要
都道府県名 | 山口県 |
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設置区分 | 公立 |
学校名 | 防府市立小野小学校 |
学校概要 | 瀬戸内海に面する防府市の北部にある小規模校(全校児童75名・8学級)で、学校のすぐ近くを一級河川である佐波川が流れ、その両岸に田畑が広がる自然豊かな場所に立地している。児童は低学年から佐波川や河川敷の生物に親しんでおり、生物に関心の高い児童が多い。また、児童が参画する地域行事が多く、地域から多くの教育支援を受けている。2009年に豪雨災害があり、災害への危機意識が強い地域でもある。 |
これまでの取り組み | これまで、生活科や総合的な学習の時間、理科を中心に、全学年で地域の自然に関わる学習活動をしている。令和6年度の生活科と総合的な学習の時間の活動として、1・2年生「水辺の学校の生き物を見つけて調べよう」、3年生「カワラケツメイを育てて健康茶を地域の方に広めよう」、4年生「小野の森探検~樹木のすごさについて調べよう~」、5年生「稚鮎の放流~鮎の育つ佐波川の環境を守るために」、6年生「安心なくらしのために~災害に備える~」などのテーマで、地域や様々な事業所の支援を受けながら探求的な学習をすすめている。 |
学年 | 第5学年 |
テーマ | 「小野の豊かな自然と安心なくらしを守る」 |
目標 | 佐波川の生き物に関わる体験的な学習や過去の水害・土砂災害から学ぶ防災学習を基に地球温暖化についての学びを進めていく中で、気候変動問題の深刻さを実感し、食やリサイクル、省エネルギー、防災の備えなどの観点から自分の生活を振り返って問題点を見出し、自分の生活を改めたり地域の方に協力を呼びかけたりするなど、今の自然環境と様々な命を守る方法を思考し、学びを生活に生かそうと行動する。 |
内容 | 1 地球温暖化の原因と予想される未来の問題、それを防ぐための方法について、科学的に学ぼう ~環境アドバイザーの方から~ 2 小野地域の生き物は、温暖化の影響を受けているのか、専門の先生方と一緒に調べよう ~①「アユ」について佐波川漁協の方と ②「昆虫」について科学館の方と~ 3 2009年土砂災害について知り、安心なくらしのために今しておくことについて考えよう ~防府市危機管理課の方に質問~ 4 今、自分達にできることを考えて、すぐに始めよう ~山口県温暖化対策センターの方に自分達にできる効果の高い方法を教えてもらおう~ 5 発信、大人の方に協力してもらおう ~①環境レポートを公民館等に掲示 ②地域文化祭で発表 ③地域回覧用のチラシづくり~ |
大切にしたこと | ・温暖化の進行が、児童が身近な場所や生活の中で実感できる体験的な学びの場面を、多く創るようにした。 ・地域の「今の自然環境と生き物、くらしの安全を守るために」という視点で学習することを児童に投げかけ、今の現状と未来予測について科学的に学び、今の豊かな自然と安心な生活を守るためにはどのような行動や生活様式にしていくことが有効なのか、その中で自分達に今できることは何かを思考し、その実行を目指す学習展開とした。 ・知識を得て新たな発見や気づきを児童が得る学びでは、行政機関等の支援により専門的な知見をもたれた方に講師や学習支援を依頼した。 ・学びの成果を印刷物の配布やイベントでの発表により発信し、温暖化防止に効果のある行動への協力を、地域の方に訴えた。 |
スケジュール | 令和6年4月~令和6年12月 |
外部協力者 | 山口県地球温暖化防止活動推進センター 防府市生活環境部くらし環境課カーボンニュートラル推進室 (一社)レベルフリー 代表 坂本 京子 氏 佐波川漁業協同組合 防府市青少年科学館ソラール 防府市総務部防災危機管理課 防府市生涯学習課 小野公民館 小野地区協議会 |
フォトギャラリー







4月から学んだことを1枚のチラシにまとめ、地域の皆さまにお配りします。
取り組み
令和6年4月~令和7年2月
1学期
1. ~小野地域に起こった災害や佐波川の生き物は、地球温暖化の影響を受けているのだろうか。~
2. 「地球温暖化とは?小野は大丈夫?予想される未来は? ~環境アドバイザーの方から学ぼう~」
①気温上昇の実際とそれが引き起こしていること、温暖化の原因とは
②小野地域に土砂災害を引き起こした大雨は温暖化と関係しているのか
③今回の学びから、学習したいことを再検討
3. 「小野地域の生き物は温暖化の影響を受けているの?~専門の先生方と一緒に調べよう~」
①小野地域で昔から守り育ててきた「アユ」は、温暖化で大丈夫?
ア. 佐波川漁協の方と稚鮎放流 イ. 鮎の生育と繁殖を守るための活動と温暖化の影響について
②佐波川河川敷で命をつないでいる「昆虫」は、温暖化の影響を受けている?
~ 科学館学芸員の方と稀少昆虫調査、幼虫の食べる植物は生えているか~
4. 「小野の土砂災害はどのように起こった?今しておくべき大切なことは?~防府市防災危機管理課の方に聴いてみよう~」
①安全な場所は?どのタイミングで、どこに避難すれば? ②土砂災害から命を守るために大切なこと
5. 1学期の学びを「環境レポート」にまとめて発信の準備をしよう。
2学期
5. 今、自分達にできることを考えて、すぐに行動しよう~山口県地球温暖化防止活動センターの方に、
二酸化炭素を出す量をへらす効果の高い生活様式を教えてもらい、その中で自分にできることを
「環境レポート」に追加しよう~
①地域の方に伝えるため、自分が始めた生活様式や伝えたいことを「環境レポート」にまとめる
②地域文化祭に来られた地域の方に協力してもらえるよう、「環境レポート」の内容から自分が特に
伝えたい内容を決めよう
6. 「発信」~大人の方に協力してもらえるよう、温暖化防止が必要なわけと生活様式を伝えよう~
①環境レポート(紙媒体)を公民館に掲示しよう
②地域の方に協力してもらえるよう、地域文化祭で発表する分担を決め、全員で発表しよう
③より多くの地域の方に向け、学んだことや協力してほしいことを読みやすいチラシにまとめ、地域 の回覧で見てもらおう
3学期
※本単元の学習活動は2学期で一端終了の予定
児童の変化
<児童・生徒の変化について>
- 温暖化防止に関わる児童の行動変容について
山口県地球温暖化防止活動推進センターによる行動変容アンケートに5年生児童16人がそれぞれの行動変容に答えたところ、 全員の合計で1800㎏以上のCO₂が削減できる(1年間継続した場合)との回答をいただいた。児童はその多さに驚き喜ぶとともに、各自で取り組んでいる生活様式の継続に意欲をみせていた。 - 「総合的な学習の時間」として
自分の暮らす地域の自然と安心な生活を守ることについて児童が思いを出し合うところから学習が始まり、地球温暖化防止を軸として、小野地域の「生物が命をつなぐ環境を守るために活動」と「大雨・土石流に対する地域防災に取り組む」の二つのテーマで探求的な学習が進んでいった。学習のまとめでは、関係機関のご支援で自分達の思いを地域に発信して協力をお願いしようという活動まで 行なうことができた。児童はこの学びの過程の中で、自分の考えや行動を地域の方が受け入れてくださった喜びと、わずかかも知れないが、小野地域のよりよい未来づくりへ自分達が参画できたのではないかという達成感を感じていた。
<児童・生徒の変化をどのようにして評価したのか>(アンケート等)
日頃の授業や放課後の取り組みを観察して、生徒の変化を評価した。
参考資料
・山口県地球温暖化防止活動推進センターホームページ
1. ストップ温暖化診断 2. 知ろう!学ぼう! 3. デコ活アクション100冊子
・環境省デコ活ホームページ
1. デコ活アクション
・防府市環境政策課ホームページ
1. みんなで実現!ほうふのカーボンニュートラル!
・地域回覧用チラシ「小野地域の自然と安心を守るために」※小野小学校5年生児童作成