IPCCとは?

IPCCの概要

国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。

世界の科学者が発表する論文や観測・予測データから、政府の推薦などで選ばれた専門家がまとめます。科学的な分析のほか、社会経済への影響、気候変動を抑える対策なども盛り込まれます。国際的な対策に科学的根拠を与える重みのある文書となるため、報告書は国際交渉に強い影響力を持ちます。
各国政府を通じて推薦された科学者が参加し、5~6年ごとにその間の気候変動に関する科学研究から得られた最新の知見を評価し、評価報告書(assessment report)にまとめて公表します。第5次報告の第1作業部会の場合、日本からは10人の執筆陣が参加しました。特定のテーマに関する特別報告書(special report)や気候変動に関する方法論に関する指針なども作成、公表します。

IPCCの組織

(表)IPCCの構成
(表)IPCCの構成

IPCC は、総会と3つの作業部会及び温室効果ガス目録に関するタスクフォース(インベントリー・タスクフォース)により構成されています。

評価報告書

第1作業部会(WG1):科学的根拠、第2作業部会(WG2):影響・適応・脆弱性、第3作業部会(WG3):緩和策、それぞれの報告書と三つの報告書を統合した統合報告書(Synthesis Report)の4つの報告書から構成されています。
三つの作業部会の報告書は、それぞれ「政策決定者向け要約(SPM)(Summary for Policy-Makers)」と、より専門的で詳細な情報が記載されている「技術要約(Technical Summary)」から出来ています。
IPCC総会で、評価報告書の作業計画に関する決定を行います。報告書作成のための執筆者や査読者を決定します。また、報告書の各章に通常先進国1人、途上国から1人の計2人の総括代表執筆者が指名されます。総括代表執筆者のもとで、代表執筆者が各章を執筆します。報告書案は、専門家の査読者と政府によって査読が行われます。査読編集者は、査読コメントが十分に考慮されているかを確認します。最終案は、IPCCのホームページに公開し、専門家のコメントも求めます。

これまでの報告書

第1次報告書(1990年)First Assessment Report 1990 (FAR)
第2次報告書(1995年)Second Assessment Report: Climate Change 1995 (SAR)
第3次報告書(2001年)Third Assessment Report: Climate Change 2001 (TAR)
第4次報告書(2007年)Forth Assessment Report: Climate Change 2007 (AR4)
第5次報告書(2013年)Fifth Assessment Report: Climate Change 2013 (AR5)
195ヶ国の政府が関わって作成し、各国政府の承認を取り付ける機構。
2007年に第4次評価報告書を発表した際にノーベル平和賞を受賞し、話題となりました。

また、これまでの主な特別報告は以下のものがあります

  • 「改定版1996年IPCC温室効果ガス国家目録指針』(1996年)
  • 「土地利用、土地利用変化及び林業に関する良好手法ガイダンス」(2003年)
  • 「2006年IPCC温室効果ガス国家目録指針」など