第20回締約国会議(COP20)

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COP20閉幕:「気候行動のためのリマ声明」を採択

 14日(日)の午前3時過ぎ(現地時間)、プルガル・ビダルCOP20/CMP10議長は、会議の閉会を告げて、木槌を下ろしました。会期は、12日(金)18時までの予定でしたから、一日半延長したことになります。私は、13日(土)未明にリマを発ったので、結末を現地で見ることはできませんでした。近年、気候変動COPは、会期を丸一日以上延長することが恒例のようになってしまっています。


写真1: COP20/CMP10の閉会のため、木槌を下ろすプルガル・ビダルCOP20/CMP10議長
(写真出典:ENB(http://www.iisd.ca/climate/cop20/enb/images/12dec/IMG_0404-2.jpg))

 長かった会議最終日を振り返ってみましょう。

 12日午前10時過ぎから、2020年以降の国際枠組みについて議論する、強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)のコンタクト・グループが開始されました。ここでは、前日22時半に公表された共同議長案の改訂版をもとに議論が始まりました。このコンタクト・グループは、傍聴者がいつもにも増して多く、大行列ができていました。


写真2:なぜか最終日になって配り始められたCOP20ポスター。数種類ありました。

 そのうち、参加者があまりにも多くなりすぎて、この規模の部屋で会合を続行するのは危険だということで、全体会合を開く会場に移ることになりました。そこで、政府関係者優先なのは変わらないのですが、列が並び直しになるため、一刻も早く会場に入るため、傍聴者全員が一斉に移動先の会場に向かって走り出しました(後から考えると、これも危なかったと思いますが…)。もちろん、筆者も全力疾走。傍から見ると、前にテレビで見たことがある、福男選びのようだろうなと思いました。


写真3:ADPコンタクト・グループへの入場を待つ傍聴者達

 全体会合の会場で、ADPコンタクト・グループが再開されました。全体会合の会場でも超満員。この会場は、あまり空調がきかないので、まるでサウナのようでした。サウナのような会場で、2時間半ほど、コンタクト・グループでの議論が続きました。新しい共同議長案のパラグラフの中で、意見がまとまらないものには、オプションがつけられており、それに従って議論が続けられましたが、とてもまとまりそうにありませんでした。

 15時過ぎから、プルガル・ビダルCOP20/CMP10議長が、議論の進捗状況を確認する会合で、進捗状況を確認した後、「あと2時間頑張って欲しい。さぁ、議論に戻ろう!」と締約国を励まし、ADPコンタクト・グループ、プルガル・ビダル議長自ら調整する会合、資金に関する閣僚級会合の3つに分かれて議論を進めるよう指示しました。筆者が会場にいられたのはこのあたりまでです。


写真4:進捗状況を報告する会合

 その後、16時半からADPコンタクト・グループが再開。その後、やはりまとまらず、13日午前2時にADPコンタクト・グループが再開、終わったのは午前3時半のことでした。残された議題資金に関するコンタクト・グループやその他非公式協議が続けられ、すべてが終わったのは、冒頭に書いた通り、14日午前3時のことでした。


写真5:11日の記事の写真5の壁の表面。11日には幹と枝の部分だけだったのですが、12日には花が咲いたようになっていました。

 

 2日の記事で紹介した通り、COP20の論点は以下の通りでした。

1) 来年のCOP21で議論し採択するための2015年合意文書案を策定すること
2)  2020年以降の各国の排出削減目標を提示する際に、どのような情報を提供するかを決めること
3) 2020年までの各国の排出削減目標の引き上げについて検討すること
4)  先進国から途上国への資金支援の見通しを明らかにすること

 COP20の成果は以下の通りです。

①2015年のCOP21に十分先立って(準備のできる国は2015年第1四半期までに)提出を招請されている約束草案を提出する際に示す情報の内容等を定めるCOP決定(「気候行動のためのリマ声明」(Lima Call for Climate Action))が採択された【上記論点2)に対応】。
②「新たな枠組みの交渉テキスト案の要素」についての議論が行われ、「気候行動のためのリマ声明」の別添とされた【上記論点1)に対応】。
③COP20期間中に緑の気候基金の初期動員への拠出額が100億米ドルを超え、これを歓迎する旨のCOP決定が採択された。【上記論点4)に対応】

 なお、上記論点3)については、これまで開催されてきた、削減のポテンシャルが高いセクターの専門家を集めての「専門家会合(Technical Expert Meetings: TEM)」による2020年目標の引き上げの後押しの制度化等が目指されましたが、議論がまとまらず、閣僚級会合を毎年開催することに合意したのみでした。


写真6:写真5の裏面。COP20参加者達がメッセージを思い思いに書き込んでいったようです。(写真出典:ENB)

 昨年にも増して厳しい交渉が2週間続きました。議論がまとまらなかった点はいくつもありますが、大きくいうと、気候変動枠組条約の「先進国」と「途上国」の固定化された二分論をどう変えていくか/変えないか、ということだったように思います。その難しさを思い知らされた会合でした。気候変動枠組条約に規定されている諸原則、とりわけ、共通だが差異ある責任と応能負担原則をどうとらえ、制度に反映させるかということをこの一年で考えなければなりません。


写真7:来年のCOP21開催国であるフランスのブース。COP21とCMP11でエッフェル塔が作られています。

 来年のCOP21での世界全体の合意の採択に向けて、国際社会はまた歩み始めます。

 

文・写真(写真1、6を除く):久保田泉(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)

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