第20回締約国会議(COP20)

ケリー米国国務長官の演説

 昨晩(10日)遅くまで作業が続けられた強化された行動のためのダーバン・プラットフォーム特別作業部会(ADP)のコンタクト・グループ。今日はどのように進むのかなと思いながら会場に来て、傍聴者の列に並んでいましたが、傍聴者が会場に入れる頃になったら、休会に。昨日までに8日朝に出された議長案に関する議論がひととおり終わりましたが、今後の議論の進め方が問題になり、各交渉グループの調整が終わるまで、休会になったようです。


写真1:会場で売られているアイスクリーム。この日はアイスクリーム日和でした。

 今日、米国が記者会見を開き、そこで行われたジョン・ケリー国務長官による演説が大きな注目を集めました。米国国務長官の気候変動COPへの参加は異例だとのことです。この日、ケリー国務長官は、Twitterで、「気候変動は、私にとって、思い入れのある問題であるが、すべての人にとって思い入れのある問題であるべきだと思うから、私は今日ここリマにいる」とツイートしていました。非常に印象深い演説でしたので、関心のある方はぜひ動画を見て下さい(参考資料にURLを記載しました)。

 ケリー国務長官は、「先進国が気候変動交渉をリードしないなら、それは先進国が気候変動問題の一部であるのと同じことだ」と述べ、この交渉を先進国がリードする必要性を強調しました。また、「気候変動対策をとらない言い訳に、価値のあるものはないというのが真実だ。気候変動の科学は科学であり、私達に対して、声をあげ、警告を発し、対策をとらせようとしている」、「今や、博士号を持っていなくても、世界が既に変わっていっていることはわかる。ただ注意深くなれば良いだけだ。2000年以降、観測史上最も暑い13年が続き、今年は、中でも最も暑い年になりそうだ」とし、「人類は気候変動問題を作り出している。そして、人類はその問題を解決することができる。気候変動問題の解決策は、エネルギー政策である」と述べました。そして、「私達は、この地球への脅威に緊急に取り組まなければならない。リーダーはリードしなければならない。各国はステップアップしなければならない。そして、このことは、今から来年末まで、野心的な気候協定の採択に向けて、私達が協力しなければならないことを意味している」とし、COP20参加者に対して、「あなた方のリーダーから決断を引き出そう。声をあげよう。気候変動を政府職員がもう一日たりとも無視できない、そして、次の選挙まで放っておくことができない問題にしよう。クリーンなエネルギーへの移行をあなた方が受け入れる唯一の政策にしよう。そして、2015年のパリ合意を野心的なものにするのは、選択肢ではなく、急を要する必然なのだと認識しよう」と力強く呼びかけました。


写真2:演説するケリー国務長官(写真出典:ENB(http://www.iisd.ca/climate/cop20/enb/images/11dec/IMG_9668.jpg))

 午前中に休会になったADPのコンタクト・グループは、夕方にも短時間の会合が開かれましたが、結局、ほぼ何の進展もないままでした。最終日近くになって、一日近くの議論の時間が失われるのは、交渉の進展にとって大きなダメージです。


写真3:会場に貼られていた、カナダの気候変動政策を批判するビラ。「探しています!私達は、気候変動政策がなくなってしまって、とても悲しいです。見つけて下さった方は、カナダの環境大臣にご連絡を」。この下に、カナダの環境大臣の名前やtwitterのID等が、さらに、「報酬として、3億ドル(緑の気候基金にカナダが拠出を表明した額と同じ)差し上げます」と書かれていました。

 この日の晩、プルガル・ビダルCOP20/CMP10議長は、進捗状況を把握するための非公式全体会合を開催しました。プルガル・ビダル議長は、モレワ環境大臣(南アフリカ)とデイビーエネルギーと気候変動大臣(英国)に対し、長期資金と緑の基金(GCF)に関する閣僚級アウトリーチ会議を行うよう求めました。クマラシンADP共同議長は、コンタクト・グループの進捗状況を説明し、今後交渉をどう進めるかで締約国間の意見が一致していないと述べました。


写真4:会場を行きかう参加者達

 プルガル・ビダルCOP20/CMP10議長は、「手ぶらでリマから帰らせたくない。このプロセスを前に動かしたという自信を持ちたい。私達は政策決定者である。ここにいるのは、決定を採択するため、解決策をもたらすためだ。私達は、透明性ある方法で会議を進めてきたと自負しているし、これからもそうだ。構築しかけてきた自信を失いたくない。唯一残された道は、政治的意思をパリ合意の成功につぎ込むことだ」と締約国に対して訴えかけ、今回の合意事項をCOP20決定というかたちで結実させることが必要だと強調しました。

 プルガル・ビダルCOP20/CMP10議長は、今後の進め方として、ADP共同議長に対し、今日の21時までに、ADP合意文書案の改訂版を作成するよう指示しました。同議長は、「鍵となるトピックはわかっている。カンマの位置をどうするかなど、文章表現についての議論ではなく、実質に関する議論に集中してほしい。効果的・効率的な方法で議論を進めるように」とし、4つないし5つの主要問題に焦点を当てるよう求め、議長自身も、閣僚との協議を続けると述べました。閣僚級に対しても、「各国内に様々な事情があることは私もわかっている。でも、私をひとりにしないで欲しい。一緒に合意を作り上げよう」と呼びかけ、会場から拍手喝采を浴びました。


写真5:この日(11日)に新たにできた壁。表面には木の幹と枝が、裏面(写真)には「#(ハッシュタグ)私達は未来を創造する」と書かれています。

 いよいよ明日はCOP20最終日。私達はどのような合意を見ることができるのでしょうか。

参考資料
・ジョン・ケリー米国国務長官の演説「気候変動:地球規模のリーダーシップの挑戦」(動画)(英語)
http://unfccc6.meta-fusion.com/cop20/events/2014-12-11-15-00-united-states-of-america-secretary-of-state-john-f-kerry-climate-change-a-test-of-global-leadership

 

文・写真:久保田泉(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)

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