第19回締約国会議(COP19)

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閣僚級会合における石原大臣の演説と資金デー(11月20日)

今日(20日)午前、閣僚級会合において、石原伸晃環境大臣が演説を行いました。石原大臣は、京都議定書第1約束期間の削減目標を達成する見込みであること、そして、2020年の温室効果ガス排出削減量を2005年比で-3.8%とする新たな目標を各国に示しました。

 

 この新たな目標は、15日の地球温暖化対策推進本部(本部長・安倍晋三首相)で了承されたものです。石原大臣は、「この目標は、野心的でないと思われるかも知れないが、既に世界最高水準にある日本のエネルギー効率を20%も改善する野心的な目標である。また、原発を考慮せずに設定している。今後、エネルギー政策の検討を進め、新目標を見直す」と述べました。このほか、石原大臣は、2013年から2015年までの間に、途上国の気候変動対策のため、160億米ドルを拠出することなどを表明しました。

 

写真1:20日の閣僚級会合で演説を行う石原環境大臣

 

日本が2020年の温室効果ガス排出削減目標を公表するのは3回目です。1回目は、2009年、麻生首相が、-15%(2005年比。1990年比では-8%)という目標を表明しました。これは、日本国内での排出削減分のみで、海外クレジットを含みません。2回目は、2010年1月に、コペンハーゲン合意に基づき、「全ての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意があること」という前提条件付で、-25%(1990年比。2005年比では-30%)という削減目標を気候変動枠組条約事務局に登録しました。そして、3回目が、今回の-3.8%(2005年比。1990年比では+3.1%)という目標です。

 この新しい目標に対して、批判がなされています。代表的なものとしては、英国の反応が挙げられます。デイビー英国エネルギー・気候変動大臣は、同省のホームページに、「深く失望した。日本政府に対して決定を見直すよう求める」などとする声明を発表しました。

 また、15日、国際的なNGOネットワークであるClimate Action Networkが記者会見を開き、日本の新しい目標の問題点を指摘しました(この会見では、オーストラリアの政権交代に伴う法律改正についての状況説明もありました)。この会見では、新目標に関する問題点として、京都議定書第1約束期間の削減努力を帳消しにし、後退させるものであることや、目標決定過程が不透明であることなどが指摘されました。気候変動COPでは、環境NGOが、その日、交渉に最も後ろ向きの対応をした国や地域に化石賞を贈っていますが、この日の会見では、化石賞よりさらに交渉に後ろ向きだとする「特別化石賞」が贈られました。

 

写真2:化石賞授与式のセット

 

 今日は、気候資金に関する閣僚級会合も開かれました。12日の記事で紹介した通り、資金問題は、COP19の主要課題のひとつです。COP19で、長期資金の動員について検討するとの決定は、COP18(2012年、ドーハ(カタール))の主要成果のひとつでした。

 

写真3:資金に関する閣僚級会合の様子

 

現在、途上国が気候変動対策のために、国際的なメカニズムを通して利用可能となっている資金規模と、将来的に対策に必要な資金の規模との間には大きなギャップがあります。気候変動枠組条約事務局の試算では、2030年までに途上国における温室効果ガス排出削減のために年間680億米ドル程度の費用が追加的に必要とされ、適応策としても年間280~670億米ドル程度が必要とされています。一方、現在、途上国が気候変動対策に利用できる資金は、約270億米ドルです。

これまでの気候変動枠組条約及び京都議定書の下の資金供与メカニズムは、途上国における資金ニーズを満たすうえで十分なものではありませんでした。COP15(2009年、コペンハーゲン)では、先進国が共同で達成を目指す資金動員の目標額が設定されました。すなわち、短期資金として2010‐2012年の間に300億米ドルに近づけること、長期資金として2020年までに年間1000億米ドルを動員することです。COP16(2010年、カンクン(メキシコ))においては、上記の資金動員目標が正式なCOP決定として採択され、また、緑の気候基金が設立されました。同基金の具体的な制度設計は、現在、交渉中です。

今日の気候資金に関する閣僚級会合は、2012年以降、先進国が資金規模の拡大に向けてどのような努力をしているか、そして、今後、長期資金(2020年まで年間1000億米ドル)の動員をどのように進めていくかについて議論がなされました。

 また、20日、ポーランドでは、内閣改造が行われ、コロレツ環境大臣も更迭されましたが、会期終了まで、同大臣がCOP19議長を務めることは変わらないようです。

 

参考資料:

閣僚級会合における石原環境大臣の演説原稿

http://unfccc.int/files/meetings/warsaw_nov_2013/statements/application/pdf/cop19_hls_japan.pdf

 

デイビー英国エネルギー・気候変動大臣の日本の新目標に対する声明(15日)

https://www.gov.uk/government/news/reduction-in-japanese-carbon-emissions-target-for-2020-statement-by-edward-davey

 

Climate Action Networkの記者会見(動画)(15日)

http://unfccc4.meta-fusion.com/kongresse/cop19/templ/play.php?id_kongresssession=6925&theme=unfccc

 

COP19議長・コロレツ環境大臣(ポーランド)による内閣改造を受けての声明

http://www.cop19.gov.pl/latest-news/items/statement-of-president-of-cop19-108

 

文・写真:久保田泉(国立環境研究所社会環境システム研究センター主任研究員)

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