第14回締約国会議(COP14)

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No.4 「緩和ポテンシャル」の意見交換―AWG-KPワークショップ

12月3日午後、AWG-KPの下で先進国の排出量の緩和ポテンシャルと排出量の削減可能量についてのワークショップが開催されました。

■緩和ポテンシャルと2013年以降の次期枠組み
「緩和(mitigation)」は気候変動の進行を緩和するために、温室効果ガスの排出を削減したり、温室効果ガスの吸収源を増やしたりすることを意味し、緩和ポテンシャルは、「緩和」ができる可能性を意味します。2013年以降の枠組みにおける先進国の排出削減目標の数値は、先進国がどれくらい排出量を削減できるかによって変わると考えられます。例えば、大幅に排出量を削減する余地があるのなら、それだけ大きな目標が設定されることになるでしょう。ですから、2013年以降の先進国の排出削減目標に密接に関わってくるのが、この緩和ポテンシャルという交渉テーマです。

緩和ポテンシャルについてのワークショップの様子 (c)Masayoshi Iyoda
緩和ポテンシャルについてのワークショップの様子 (c)Masayoshi Iyoda

AWG-KPの緩和ポテンシャルのワークショップでは、附属書?国の緩和のポテンシャル、排出削減シナリオ、排出削減目標と、これらの事項を定義するための方法や原則について意見交換や質疑応答がなされました。

■日本の発表と途上国の反応
日本は、2008年11月に排出削減目標について議論する専門家会合を立ち上げたことを紹介し、セクター別アプローチを用いて目標数値を2009年の適切な時期に設定すると述べました。長期的な目標については、「現状(present)に比べて、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を50%削減させる」と説明し、中期的には「今後10年から20年で世界全体の排出量を減少に転じさせる(peak out)」と述べました。また、先進国間での排出削減の努力を比較する方法として、鉄鋼、セメント、アルミニウムなどセクター別のエネルギー効率指標などを提案しました。
日本の発表に対して、途上国からは厳しい質問が相次ぎました。まず、コペンハーゲン合意に向けて交渉を前進させるためには、日本が率先して中期目標を設定し、ポズナニ会議に参加するべきではないかという質問です。これについて日本は、現在官邸で議論をしていることを説明し、2009年の適切な時期に発表するという公式見解を繰り返し、理解を求めました。さらに、第1約束期間における目標が達成困難な日本の現状を指摘し、第1約束期間での排出削減の可能性や、第1約束期間で達成できなかった場合の対応について質問がなされました。この質問に対しては、京都議定書の目標達成のために、補完的な措置も含めあらゆる手段を用いる意思があることを強調しました。
議長のワークショップ報告書には、「セクター別」による緩和ポテンシャル分析を考慮すると書かれています。しかし、鉄鋼やセメントなどのセクターの国際的な協力を中心に進めるという意見の日本や、住宅や商業などの国内セクターを中心とすべきという考え方の国など、各国が主張する「セクター別」の内容は様々です。このため「セクター別」という考え方が、次期枠組みにどのような形で位置づけられるのか、まだ未知数であると言えます。

ワークショップで質問に答える政府代表 (c)Masayoshi Iyoda
ワークショップで質問に答える政府代表 (c)Masayoshi Iyoda

■先進国はどれくらいの温室効果ガスの削減を目指すのか
多くの国が、IPCC第4次評価報告書が発表した温室効果ガスの安定化シナリオを言及し、どのレベルに安定化させるのであれば、いつまでにどの程度温室効果ガスの削減が求められるのか説明しました。EUは、地球の平均気温の上昇を工業化前に比べ2℃未満に抑えるには、温室効果ガスの大気中濃度を450ppmに安定化させる必要があり、その場合、先進国は全体で、2020年までに1990年比で25-40%の削減をする必要があると述べ、EUは、30%削減する準備があると報告しました。また、南太平洋の国などは、最新の研究成果によると、450ppmで安定化させたときの気候変動の影響は、IPCCの第4次評価報告書が報告しているものよりも大きいと指摘しました。
このように、どこを目指すべきなのかについては、共有ができておらず、引き続き議論が行われることになっています。しかし、現在の地球温暖化の進行は、先進国にその責任があるため、先進国がリーダーシップを発揮して野心的な排出削減目標を示さなければならないという点では、多くの国が一致しています。今後の交渉に注目です。

■コラム 会議場のあちこちに
会議場周辺では、地球温暖化への対処を訴える作品が数多くあります。世界各国のNGOが工夫を凝らし、ユーモアと皮肉を込めて創作したモノは、会議場参加者の目を楽しませるとともに、気候変動問題の解決への決意をより一層強いものにしています。

オックスファムによるモンスター (c)Masayoshi Iyoda
オックスファムによるモンスター (c)Masayoshi Iyoda

ソーラーカーの展示。会議場の外にて(c)Masayoshi Iyoda
ソーラーカーの展示。会議場の外にて(c)Masayoshi Iyoda

ホームレスのホッキョクグマ(c)Masayoshi Iyoda
ホームレスのホッキョクグマ(c)Masayoshi Iyoda

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