第12回締約国会議(COP12/MOP2)

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No.5 京都議定書の見直しの議論が始まりました 2006/11/9

ケニヤのキブワナ議長が開会時に挙げたナイロビ会議の課題の1つ、次期枠組みに関連する大きな議題「京都議定書第9条:京都議定書の見直し」がCOP/MOPの本会議で始まりました。
・11/9(木)のデイリープログラム(英文)

京都議定書第9条

1 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議(COP/MOP)は、気候変動及びその影響に関する入手可能な最良の科学的情報及び評価ならびに関連する技術上、社会上及び経済上の情報に照らして、この議定書を定期的に検討する。その検討は、条約に基づく関連する検討(特に条約第4条2(d)及び第7条2(a)の規定によって必要とされる検討)と調整する。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議(COP/MOP)は、その検討に基づいて適当な措置をとる。
2 1回目の検討は、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の第2回会合(COP/MOP2)において行う。その後の検討は、一定の間隔でかつ適切な時期に行う。

京都議定書の見直しはこの条文に従い行なわれます。この見直しを次期枠組みに向けた話し合いにつなげようととらえている国は先進国を中心に多く、とても重要な議題であると考えられています。
午後に予定されていた議題「京都議定書の見直し」は、昨日に引き続いて行なわれたAWGが4時半に終了するのを待ってから開始されました。キブワナ議長が「第9条に基づき京都議定書の見直しを成功裏に行なうことは、このナイロビ会議の成功の鍵を握っている」と述べ、議長としても意欲的に取り組む姿勢をアピールしました。
・11/8のAWGで話し合った内容はこちら

COP/MOP会議を進行する左からUNFCCC事務局長イヴォ・デ・ボーア氏、ケニアのキブワナ議長、UNFCCC事務局長代行ロバート・キンレー氏

Photo courtesy of IISD/ ENB-Leila Mead

京都議定書の見直しに対する各国の主張

まずは各国から議題「京都議定書の見直し」に対してコメントが寄せられました。この議題の主な論点は以下のようにまとめることができます。

(1)京都議定書の見直しと次期枠組みの検討(AWG)との連係(京都議定書第9条と第3条9項の連係)
多くの先進国は9条のもとで次期枠組みの検討を始めるべきとしています。次期枠組みに含めるべき事項の具体例として、排出削減目標の設定、削減目標達成のための手段と方策の検討、非附属書国への排出削減目標設定などが提案されました。
対してG77+中国など途上国側からは「条文に書かれているとおりに京都議定書の見直し(レビュー)を行なえば良い。次期枠組みの検討は条文が求めているものではないし、9条と3条9項は法律的に何の関連もない(no link)。」と発言し、そもそも9条のもとで次期枠組みの検討を行なうことを認めない姿勢を見せました。また、京都議定書は2005年に発効したばかりなうえに第1約束期間(2008〜2012年)はまだ始まっていません。この段階での見直しの必要性・実効性に対して疑問を投げかけました。

(2)どれくらいの時間をかけてどのように見直しを行なうか
9条には見直しにかける時間など細かい点は規定していません。先進国側は見直すべき事項が多くあり議論の時間が必要なため、COP/MOP2で作業部会を立ち上げ検討を始めていくことを提案しました。
それに対し途上国側からは京都議定書第9条2項「締約国会議の第2回会合COP/MOP2)において(at)行う」とあるため、京都議定書の見直しはCOP/MOP2の期間中に限定的に行なうべきではないかと発言がありました。

(3)京都議定書第9条1項「入手可能な最良の科学的情報及び評価ならびに関連する技術上、社会上及び経済上の情報」
情報の例として、多くの国が2007年にIPCCが発表する予定の第4次評価報告書を挙げました。スターン・レポートも一部の国から挙げられていました。

(4)CDMについて
いくつかの国は見直しの内容にCDMを含め、CDM及び炭素市場(カーボン・マーケット)を向上・拡大させる必要、手続きなどを見直す必要があると発言しました。 

日本の姿勢

日本は環境省の谷津審議官が以下のように訴えました。
・技術や世界の状況は急激に変化するため目標の設定を長期間とすることは現実的でないことがある
・全ての国(途上国も含めて)が協力することで大きな排出削減目標が達成できる
・京都議定書第3条9項の次期枠組みの議論、9条の見直しの議論、そして対話(ダイアログ)の3つのプロセスを統合させ新しい連帯意識(solidarity)を作り上げよう

オブザーバーの発言に大きな拍手 

最後にオブザーバーからの意見として、CAN(気候アクションネットワーク)が発言しました。
「気候変動枠組み条約にある究極の目標”大気中の温室効果ガスの濃度を気候に影響を与えないレベルに安定化させること”を達成し、予測されている恐ろしい影響を避けるためには、今世紀半ばまでに世界中の温室効果ガス排出量を半分かそれ以下にまで減らさなければならない。しかし附属書国が排出量をゼロにしても達成はできない。途上国が排出量を減らすことが不可欠だ。これは政治の話ではなく、物理の話です。」
次期枠組みの議論には各国それぞれの事情が反映され、会議前に期待されていたほどの進展は今のところ全く見られません。そんな状況の中行われたCANからの発言に対して、会場後方にいたオブザーバーの人たちからは大きな拍手が沸いていました。
各国から幅広い範囲で多くの意見が出されたため、COP/MOP会議の最後にキブワナ議長は非公式協議を立ち上げ、来週早々に意見をまとめるように指示しました。今後の交渉はメディアにもオブザーバーにも公開されない中行われ、来週出てくる結果を待つことになります。
・11/9(木)の会議レポートはENBをご覧ください。

コラム 日本が第1位に選ばれました

世界の環境NGOのネットワークである気候行動ネットワーク(CAN)は会議の期間中、毎日「化石賞(Fossil of the Day)」を発表しています。これは会議の進行に対して後ろ向きな発言をした国に贈られる賞で、COPの名物ともなっています。
今日、日本が第1位に選ばれました。CANは次のように受賞理由を挙げています。
「日本は昨日のAWGで”次期枠組みを2008年までに終わらせるのには反対、もしそうなったら日本の次期枠組みにおける排出削減目標を小さくせざるを得ないかもしれない”と発言した。」
今日の受賞を予測して発表前には日本人も集まっていました。

毎日化石賞が発表され国旗が掲げられます

化石賞のウェブサイトはこちら(英文)

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