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三重県地球温暖化防止シンポジウムに参加して(2006/1/21) プリント

 1月21日三重県の伊勢市で開催された地球温暖化防止シンポジウムに、ゲストパネラーとして参加した。このシンポジウムは、三重県が県内の行政、企 業、一般県民の協力の下に推進する温暖化防止対策として、平成12年に策定した「三重県地球温暖化対策推進計画」(チャレンジ6)の一環をなすものである。

 予めもらった資料によれば、この計画を毎年進める途中で、民生部門(家庭及び業務関係)と運輸部門においては温室効果ガス排出量が抑制される兆しが見 られず、産業部門の事業者からはもっと民生、運輸部門の対策を強化すべきではないかといった意見が強くなった。そこでこの両部門において効果的な排出削減 を実現するにはどうしたらよいかを考えるために県が三年前発足させたものとの説明であった。

 シンポジウムは第一部と第二部とに分れ、第一部では主催者を代表して三重県地球温暖化防止活動推進センターのセンター長田中芳和氏が開会の挨拶を行った後、気象予報士でNHKのキャスターもつとめている村山貢司氏(気象業務支援センター・専任主任技師)が「温暖化と異常気象」と題する基調講演を行った。

 村山氏は最近数年世界の各地でハリケーン、台風、集中豪雨など異常気象現象が発生し莫大な被害をもたらしているが、地球温暖化がこのような現象の多発化 と直接、間接の関係を有していると推定されることを、多くの統計や映像資料を使って分り易く解説し、会場いっぱいの聴衆も熱心に聴き入っていた。

 第二部では京都大学大学院の植田和弘経済学研究科教授の司会の下に、行政と企業分野から選ばれたパネラーが「民生・運輸部門における効果的温室効果ガス排出削減について、住民、事業者、行政は何をすべきか」を討議テーマとしてパネルディスカッションを行った。パネラーは

  • 株式会社ぎゅーとら ISO推進室長  荒木由佳
  • 三岐鉄道株式会社  取締役総務部長  日比義三
  • 伊勢市二見総合支所 福祉健康課長   小峰子
  • 三重県環境森林部  総括室長     杉森 融

の4氏に私を加えた5人であった。

 最初に司会の植田教授から従来のシンポジウムの経緯を整理して、

  • 温暖化防止の必要性は、頭では分っても具体的行動に移しづらいのが現状で、金銭、労力の負担を少なくして行動に移せるシステムが必要との意見が多かった。
  • 平成15年そのシステムとして5つのモデルを提示、翌16年エコポイントとパーク・アンド・ライドにテーマを絞って具体案について討議した。
  • 17年のシンポジウムでは、モデルの提示に終らず実践のための具体的計画が必要と判断した

との説明があった。

注1.エコポイント

 エコポイントは、県民が電力・ガス等の利用を前年同月の使用量より削減するとポイントが付与され、そのポイントを身近な小売店等で利用できる仕組みである。

 県民は、省エネに努めた結果として検針票を身近の小売店等(スーパー、商店街等)へ持参する。これに対して小売店側は低減された量に対してポイントを付 与しこれを販売促進のツールとして、ポイントカードへのポイント上乗せなどの特典を提供する。同時に付与したポイントを自社の実績として蓄積し、環境報告 書等で公表されることにより、温暖化防止支援企業としての企業イメージを高めることが出来る。

 さらに、このポイントが企業の外部削減としてカウントできるような制度があれば、最も困難とされる民生・運輸部門での温室効果ガスの削減につなげることも可能と考えられる。

注2.パーク・アンド・ライド (Park and Ride)

 パーク・アンド・ライドとは、最寄りの駅やバス停まで個人の自転車や自動車を使い、駐車場に駐車した上で電車やバスに乗り換えて目的地まで移動するシス テム。国の内外で多数の事例があるが、三重県の場合は駅に近いスーパーや商店街が駐車スペースを提供し、県民は駐車料金の代りにスーパーや商店街の商品券 を購入する。県民は利用できる駐車場が多く駐車料金も節約でき、スーパーは顧客の囲い込みになるところが一つの特徴となっている。

 次いで三重県の現職職員でパネラーの一人である杉森氏から、実践計画作成のための実証試験の報告として、エコポイントとパーク・アンド・ライド制度のそれぞれについて行っている実証試験の中間報告が行われた。

 続いて司会者からの要請に基づき、私から昨年11月から12月にかけて行われたカナダ・モントリオールのCOP・MOP会議の概要を簡単に報告した。カ ナダ政府をはじめ関係者の努力により、京都議定書に基く温暖化防止対策を国際的に続けると共に、2013年以降の対策についても話合いが進められることと なった経緯を説明した。また各国から多くのNGOや地方自治体の長がモントリオールに集まり、温暖化防止の必要性を訴えたことが、会議の流れを前向きのも のとするのに貢献したと述べておいた。

 パネリスト全員によるディスカッションでは、荒木、日比、小の各氏から、それぞれ自分の企業または地方自治体が参加・実施している活動の現況紹介と、 問題点の指摘及びその解決への努力の状況について報告が行われた。そして、県からはこれを持続可能なものとするための制度の提案がなされた。

 次いで聴衆からの質問時間が設けられたが、エコポイントとパーク・アンド・ライドについては実際に利用している県民の体験に基いての制度改善提案があ り、私に対しては風力など持続可能な天然エネルギーの利用について日本はドイツなどに較べて立ちおくれているのは何故かといった質問があった。私からは、 日本でも新エネルギーについて個別の調査研究・開発は行われているが、残念ながら縦割り行政の弊害で国としての総合的な開発計画が出来ていないとコメント しておいた。

総合的コメント:

 三重県は県として人口、財政規模などは必ずしも大きくないが、先端技術を用いた企業による新規工場の建設などで大型の投資が行われ、工業製品出荷額では 全国でも2又は3位の先進工業県となっている。かつては四日市の石油コンビナート公害など重化学工業化に伴う環境の劣化の経験も持っている。したがって、 県、市町村などの自治体、企業も環境保全については関心が高く、相互の協力関係も進んでいると見受けられた。今回のシンポジウムも三重県の主催になってい るが、同県の温暖化防止活動推進センターの親団体である三重県環境保全事業団をはじめ地元新聞・通信社などが共催又は後援団体として、その運営や広報に協 力していた。

 又、今回シンポジウムで討議の対象となったエコポイント及びパーク・アンド・ライド制度は、内容としては地味なものであり特別の科学技術導入を前提とす るものではないが、県民一人一人に直接参加を求めるものであり、しかも参加者の経済的、労務的負担を少なくするというインセンティブにも配慮している点に 工夫が見られる。

 更に3年前の構想スタート以来、計画の検討、実証試験を重ね、毎年少しずつ前進しているという息の長さにも感心した。

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