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兵庫県推進員等研修会に出席して(2006/1/14) プリント
 私にとっては平成18年最初の国内出張となったが、兵庫県たつの市で1月14日から3日間にわたって開かれた兵庫県地球温暖化防止活動推進センター主催の推進員等研修会の初日プログラムに参加した。

 たつの市は岡山県寄りの西播磨と呼ばれる地域の三町が昨年10月龍野市と合併して平仮名の名前に変った市で、西播磨は兵庫県が新しい科学技術研究都市としての育成をはかっている地域である。
初日の研修は「たつの市青少年館」のホールで次のようなプログラムに沿って進められた。
研修会(1月14日)
13:00〜16:20  (シンポジウム)
          コーディネーター 兵庫県センター 菊井事務局長
13:00〜13:15  主催者挨拶 パネリスト紹介等
13:15〜15:15  パネリストによる報告
     兵庫県センター長 小林悦夫
          「地球温暖化問題を取りまく現在の状況」

     全国センター代表 大木 浩
          「温暖化対策 これまでとこれから」

     地球環境と大気汚染を考える全国市民会議 専務理事 早川光俊
          「地球温暖化問題と国際交渉」

15:15〜15:30  休憩
15:30〜16:20  パネリストに対する質疑応答  

(パネリストの発言要旨)

小林センター長: 
 近年の異常気象は、日本においても海外においても多くの被害をもたらしている。個々の異常気象がどのような原因によって生ずるのかは、現在の科学的知見 ではまだよく分らない。しかし地球温暖化の進行が異常気象の増加をもたらしていることは明らかである。温暖化防止のために日本政府としては京都議定書の目 標達成計画を作って種々の対策を樹てているが、その達成には国民各層の理解と参加による脱温暖化社会の形成が必要であり、子供の頃からの環境教育が重要で ある。兵庫県においては知事を責任者とする環境教育の具体的プログラムを作成してこれから実施して行きたいと考えている。

大木代表: 
 世界中の国が集って、地球温暖化防止のための京都会議が始まるまで、更に京都議定書が出来て発効するまでには、多くの時日が費され、何十回という国際会 議・交渉や専門家会議が開かれている。1988年のトロント会議とIPCCの設立、1992年の気候変動枠組条約の採択とリオ地球サミット会議などを経て 毎年COP会議が開かれる体制がととのい、COP1のベルリンマンデートに基きCOP3で温室効果ガス排出削減を法的に義務づける京都議定書が採択され た。日本としてもその目標を達成しなければならないが、政府の計画はまだ抽象的他力本願的な部分が多く地方自治体や民間を含めた全国民の参加がなければ目 標達成は覚束ない。地域単位の削減努力が非常に重要となってくる。

早川専務理事: 
 1992年の枠組条約の基礎の上に立って京都議定書の作成交渉が行われ、又その後の議定書の運営ルールの設定交渉が行われた。1988年のIPCCの設 立が、科学的知見を根拠とする交渉の前進を促したが、条約や議定書は科学的知見と政治的利害関係の調整の上に出来上っている。
昨年末モントリオールのCOP11・MOP1会議で2013年以降の削減目標と制度設計にも道筋がつけられたが、アメリカがある程度譲歩した背景には、ハ リケーンによる被害や州レベルあるいは全米市長会議などによる京都議定書支持の動きがあったことも否定できない。京都議定書は重要だがささやかな第一歩と 受止め今後もNGO活動を続けて行きたい。

(パネリストに対する質疑応答)

 以上の三人のパネリストの報告に対して、聴取者から、以下の様な質問を含め多様な質疑及びコメントが行われた。

  1. 京都議定書の発効あるいはモントリオールの会議の結果、今後の温暖化防止の対策などに何らかの変更があるのか。
  2. 京都議定書で先進国の温室効果ガス削減目標が日本6% 米国7% EU8%となった背景及び途上国に削減義務を科さないと決った経緯を知りたい。
  3. 環境教育については教育委員会がこれを受入れる体制が出来ていない。又教師の中に知識と熱意を持っている者が少ないがどうしたらよいか。
  4. 米国や中国、インドなど大量の温室効果ガス排出国の排出削減がないと温暖化防止はむつかしいと思われるが、これらの国への呼びかけはどのようにして行うのか。

 以上のような聴取者側からの質問、コメント等に対しパネリスト側から

  1. 京都議定書が発効しモントリオール会議でマラケシュ合意が正式に承認されたので、各国のCO?排出削減活動や京都メカニズム実施のための国際交渉はこれから促進されるであろう。
  2. 京都議定書に基く削減措置の推進と、2013年以降の温暖化防止対策についての話合いは、今後平行的に進められるであろう。
  3. ヨーロッパ特にEU諸国においては政府民間を含めた全国的な活動として、又米国においては州や地方を中心とする自治体又は民間の活動として温暖化防止の努力は続いている。日本としても官民協力して防止活動を進めることが、国際社会で日本が信頼をかちうる力となるであろう。

 等の発言があった。

推進員等交流会(1月14日19:00〜21:30)
 シンポジウム終了後、午後7時から、参加者の宿泊所となったたつの市内の国民宿舎「赤とんぼ荘」に於て、懇親目的の交流会が開かれ、約40名の推進員と パネリスト及び主催者の兵庫県センターの職員が、食事を共にしながら歓談する機会を持った。私も兵庫県内各地から集った多くの推進員の人々と、シンポジウ ムでは十分説明出来なかった事項についての解説や、推進事業の進め方についての率直な意見交換など、有益な時間を過すことが出来た。又地方のセンターから 全国センターに対する要望や、政府の環境行政に対する注文も聞かせてもらった。

追記:近隣の施設見学(1月15日9:00〜12:00)
15日は、県の温暖化防止センターの親団体「ひょうご環境創造協会」の課長さんである田靡(たなびき)幸男氏のご案内で、小林センター長にもご同行願って、近隣の環境関連施設などを見学させてもらった。

(イ)兵庫県西播磨総合庁舎
  兵庫県は東西に広く延びた地形を持ち、神戸市所在の県庁だけでは仲々眼のとどかない地域もあるが、最西部の西播磨地区は今後県が新しい開発を期待している 地域でもあり、此処に県庁の地域開発、環境自然保護などの担当部局支所を集めて総合庁舎を設けたということであった。庁舎の建設に際しては屋上に太陽光発 電パネルを設けて自家発電(余剰電力は電力会社へ売却する契約)をはかり、建物の内部には地元の木材を多く使用するなど、天然資源活用、環境重視のモデル 庁舎となっている。

(ロ)環境科学公園都市オプトピア(兵庫県上郡町所在)
 前述のとおり兵庫県は西播磨地方を新しい開発対象地域と位置づけ、種々の施設建設を進めているが、上郡町のオプトピアは、開発構想のPR館としての役目 を果たしている。案内をして頂いた所長の浦上好央氏は元県庁のお役人であるが、西播磨の開発を強く願ってこのPR館の充実に情熱を傾けている方とお見受け した。PR館の内部には多くのAV機器をそなえ大人も子供も楽しめるように工夫されている。

(ハ)高輝度光科学研究センター(兵庫県佐用町所在)
 文部科学省が中心となって、ナノテクノロジー綜合支援プロジェクトとして発足した研究プログラムの中、放射光グループと呼ばれるものの一つである。日本 原子力研究所と理化学研究所が共同で建設を開始し平成9年に完成した。S Pring-8と呼ばれる巨大な施設を使って放射光と呼ばれる電磁波を発生させ、これを利用して理工学、医学から犯罪調査、考古学に至るまで、多様な研究 が行われている。同センターの主席研究員で広報室長を兼ねる原雅弘博士に案内して頂いて、広い構内の施設を1時間近くじっくりと見学させてもらった。放射 光の電気磁気にかかわる科学的説明は、しろうとには十分理解し得ない点もあったが、ナノテクの微細な世界の究明のために、何百メートルもある巨大な装置が 使われているのを見て、先端科学の進歩のためには膨大な資金が必要であることを、あらためて認識させられた。

総合的感想:
 姫路駅到着から同駅出発まで、現地の滞在時間は約26時間のあわただしい旅行であったが、地元の皆様方のご協力により極めて充実した出張とすることが出 来た。兵庫県が阪神淡路大地震の災害を乗りこえて、将来へ向っての地域発展計画を着々と進めておられるエネルギーを実感することが出来た。又、私にとって は、今後全国センターと都道府県センターの協力関係をどのように深めることが出来るかについて種々参考となることが多かった。兵庫県温暖化防止センターの 皆様に心から感謝申し上げて、この報告書の結びといたします。

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