Menu Content/Inhalt
Home arrow 過去のイベント arrow その他 arrow シンポジウム「危険な気候変動を防止するために…」が開催(東京)
シンポジウム「危険な気候変動を防止するために…」が開催(東京) プリント
2008/04/21 Monday 14:32:06 JST

平成20年4月12日(土)、東京のウィメンズプラザホールで特定非営利活動法人 気候ネットワークの主催でシンポジウムが開催されました。タイトルは「危険な気候変動を防止するために…?「気候保護法」の実現に向けて?」というものです。

*世界の動き

世界の国の中には、二酸化炭素(CO2)排出量を法律という仕組みを使って削減しようとするところが出てきています。先駆けとなったのは、2007年に制定されたイギリスの「気候変動法(Climate Change Bill)」です。2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を1990年比で60%削減することを義務付けており、目標達成のための予算や独立機関の気候変動委員会を設けるなど、国の根本をつかさどる法律によってしっかり地球温暖化問題に取り組むこととしています。
他にもドイツなどでこうした気候保護法案といったものが発表されているそうです。
また京都議定書に批准していないCO2排出大国アメリカでも、「リーバーマン・ウォーナー法案(通称2007年米国気候安全法、America's Climate Secutiry Act of 2007)」が発表されており、2008年6月には上院本会議で審議される予定とのこと。経済的なしくみを通して排出量を削減するため、様々な経済的手法が記述されているそうです。

*基調講演

シンポジウムでは、まず京都大学植田和弘教授が環境経済の観点から基調講演「地球温暖化防止と気候保護法の意義」を行いました。
地球温暖化問題に立ち向かうには戦略が必要なこと、特に環境経済戦略として「市場そのものに温暖化防止のシグナルを送る」ことが重要です。具体的には炭素に価格をつける(カーボン・プライシング)といった手法があり、多くの国や地域で実際に行われ効果を上げつつあります。
しかし現状の日本では、例えばクール・ビズなどの一人一人の対策、企業1つの自主目標などに頼りがち。気候保護法はマーケットに方向性を示すことにつながり、将来必ずできるであろう世界炭素市場(カーボン・マーケット)への準備となります。
「CO2排出は認めないという文明史的転換が必要。くらしの根底に温暖化防止策を組み入れる必要がある」とおっしゃっていたのが印象的でした。

その後、国連環境計画・金融イニシアティブの特別顧問、末吉竹二郎氏が「金融市場における世界の動向」というお話をされました。
金融にとって気候変動問題はリスクであり、世界経済へ波乱を起こす要因とみなされていること、ただしそれをチャンスに転じていこうという機運がすでに起こりつつあるそうです。こうした根底には、地球的課題(地球温暖化、貧困の拡大、安全な水問題など)が深刻化しているのに対して解決主体の不在があるそう。「病気の地球で健全なビジネスはできない」「自分たちビジネスのサステイナビリティー(持続可能性)は、ちきゅうそのもののサステイナビリティなくしては成り立たない」といった意識が生まれつつあり、金融などのビジネスが解決主体の役割を担いつつあるそうです。

中でも「金融」は私たち一人一人にとってとても身近なものです。例えば、年金。日本の年金基金は200兆円あるそうですが、その巨額のお金はどこに投資されているのでしょうか?出資者である私たちがその行方を見守り、意見していくことで、金融ビジネスを地球温暖化問題などの解決主体とさせることができるそうです。
日本の金融は世界に比べてまだ初期段階にあること、また世界の出来事に関心が低いといった指摘がされていました。ただし「それは裏返せば、預金者・年金加入者である一人一人の市民からの要求が低いこと、日本の市民社会が弱いこと」を意味しています。

*話題提供

2つの講演を受け、環境文明21の加藤三郎代表、FoE Japanの瀬口亮子氏、弁護士で日本環境法律家連盟の和田重太氏から議論への話題提供がされました。
加藤氏からは、地球温暖化対策の遅れが膨大なツケを企業と国民にもたらすことが具体的に説明されました。
瀬口氏からは、イギリスの気候変動法案提出へのプレッシャーとなった市民キャンペーン「Big Ask」が紹介されました。これはイギリスに10万人の会員をもつ国際環境NGO「FoE(Friends of the Earth)」が3年近くをかけて市民キャンペーンです。しっかりした科学やロックバンド「レディオヘッド」のボーカルトム・ヨークさんなどによるアピールなどを通し、市民一人一人の声を地元選出の国会議員に届けよう、というもの。最終的には2/3を超える議員の賛同を得て法律が制定されたそうです。
その後、和田氏からアメリカのリーバーマン・ウォーナー法案についての解説がありました。

*気候変動保護法案

気候ネットワーク代表の浅岡美恵氏から、日本が今は持っていない「中長期目標、道筋、効果的な制度」を確実に進めるものとして、気候変動保護法案の必要性、背景、内容が説明されました。
*気候変動保護法案はこちらからご覧いただけます。

基調講演や話題提供から、いかに諸外国の温暖化への取り組みが戦略的・体系的に行われているか、そしてそれが自国の経済や社会を守ることにつながる取り組みであることを知ったため、現状の日本の取り組みが場当たり的である、という感が否めません。
植田教授からの「今の産業を守ることで未来産業のPotential(可能性)を壊してよいのか?」という問題提起、末吉氏が紹介した「19世紀は金、20世紀はドル、21世紀はCO2。空気はタダではない」という言葉。世界の国々が地球温暖化問題への取り組みを体系的かつ戦略的に進めていくなか、目前に迫った北海道洞爺湖サミットの議長国として、日本政府、日本社会、そして私たち日本の市民が取り組むべき課題は山積みのようです。

最後に聴衆からの質問に答えるかたちで、「一人一人ができることはたくさんあります。まず、何ができるか。それを自分自身で考えてほしい。そして、実行してほしい。すべてはそこから始まります」というメッセージが送られ、シンポジウムは終了しました。

このシンポジウムは気候ネットワークの「めざせ!温暖化政策トップランナー」キャンペーンの一環で、シリーズで行われています。詳しくはこちら

ImageImage
Image

(写真説明)
 上左:左から和田氏、末吉氏、植田氏
 上右:左から加藤氏、瀬口氏、浅岡氏
 下左:日本の温暖化政策について語る会場は熱気があふれていました
 下右:気候保護法案を提案した浅岡氏
 
< 前へ   次へ >
2008
2007
2006
戻る