| アジア開発銀行(ADB)賢人会議に出席して(2007/10/16) |
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フィリピンのマニラに本部のあるアジア開発銀行が幹事役になって開いているアジア賢人会議という会合があります。アジア地域の政治家OBや学者が個人の資格で参加し、アジア及び太平洋の低開発地域の経済開発について意見交換し、必要に応じADBに対して政策提言を行うというのが趣旨のようです。 この会議の第3回会合に出席して地球温暖化問題についての討議に参加してくれという要請がADBからありましたので、9月21日から2泊3日の短期間でしたが、マニラに出張しました。マニラには外務省の職員時代及び国会議員になってからも何回か出かけましたが、最近10年程は行っていないので久し振りの訪問でした。昔に較べて高層建築が目立って多くなり個人乗用車の数も多くなりましたが、昔ながらのバイクを改造した簡易タクシーや満艦飾の市内バスも走っており、一歩横路へ入ると雑然とした小売店や屋台の食べ物店も並んでおり、経済発展と貧困が同居している東南アジアの都市の姿は依然として残っているという印象を受けました。 アジア開発銀行は1966年に開設され、現在の加盟国・地域(香港、台湾など)は域内48、域外19、日米両国政府が最大の出資者(それぞれ15.7%)ですが、総裁は歴代日本人(大蔵省、財務省の国際局出身者が多い)がつとめています。今では東南アジアにおける開発を目的とする有力金融機関として育っており、地元のフィリピンの若者にとっては人気の高い就職先となっています。現在の黒田東彦総裁は2年半前からの在任で今回の賢人会議にも殆ど全期間出席していましたが、日本の官僚には珍しく誰とでも気軽に話し合うというタイプで、東南アジアの経済界の中にも友人が多いという印象を受けました。 賢人会議の議長をつとめたのはマルコス大統領の時代にフィリピンのprime minister (現在は廃止されている役職)をつとめたCesar Virata 氏で、参加者の中にはタイの首相、経済社会諮問会議議長をつとめたAnana Panyarachun氏をはじめ、フィリピン・タイ・ラオス・インド・韓国などの元閣僚、東南アジア各国の開発経済専門家などが主力を占めていました。但し、旧知のインドネシア元環境相のサリム氏が同時期に開催された国連主催の会議に出席のため欠席となったのは残念でした。また中国、ミャンマーなどからの参加予定者も、結局欠席でした、なお日本から出席したのは私の他に政策研究大学院の白石隆副学長、地球環境戦略研究機関(IGES)の副所長森秀行氏などであり、元ADB職員の森田徳忠氏は賢人会議の支持機関となっているアジア戦略フォーラム(ASF)の事務局長として、全期間中Virata議長の補佐役として出席しました。 この賢人会議では従来からアジア太平洋地域における域内協力と地域統合問題を主題として取上げてきましたが、今年は12月に国連気候変動枠組条約締約国会議(COP13)と京都議定書参加国会議(MOP3)の合同会議がインドネシアで行われることもあり、気候変動(地球温暖化)問題を議題の一つに選んだということでした。従来、気候変動問題について詳細な議論をしたという実績はないので、気候変動問題についての出席者の知識にもバラツキがありましたが、最近は台風や豪雨によって甚大な被害を受けたインドネシアやバングラデッシュなどの例もあり、温暖化による被害の防止については深い関心を有しており、被害予防措置のための資金援助の必要性を説く発言もありました。 会議における発言の総括は会議終了前に採択された英文リポートを見て頂きたいのですが、少なくとも今回の出席者の間で、地球温暖化は現実に進行中の現象であり、その防止及び災害の発生に対する適応(adaptation)措置については、域内全域の協力が必要であるということは認識されたと思います。 地球温暖化防止については、今や全世界の重要、緊急課題として今年から来年にかけて数多くの国際会議・交渉が予定されています。しかし開発途上国を含む全人類が防止活動の必要性を認識し防止の努力に参加するという態勢が出来なければ、防止活動の成果は挙がらないでしょう。その見地からも開発途上国の経済と開発の実情に接しているADBのような国際機関の任務は今後一層重要になってくるものと思われます。 ※会議の結果概要については、こちらの英文リポートをご覧ください。 |
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