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気候の危機inひろしまの開催(2007/8/27) プリント

 8月1日(水)午後広島市平和記念公園内の国際会議場に於て、「フォーラム気候の危機」と「脱温暖化センターひろしま(財)広島県環境保健協会」の共催により「気候の危機シンポジウム」が開催された。

 このシンポジウムは平成15年2月16日京都議定書発効の日に東京で第1回会合を開いて以来、毎年2回程度の頻度で全国の都市を巡回する形で開かれているが、今回は地球温暖化に対する一般市民の関心の高まりを反映して、県内各地から約420名の参加を得て盛会であった。

 東京から総合コーディネーターとして参加していただいた国立環境研究所参与の西岡秀三氏、基調講演をお願いした気象キャスターネットワーク理事の村山貢司氏、国立環境研究所・温暖化リスク評価研究室長の江守正多氏は、何れも現在日本が進めている地球温暖化実態研究の第一線で活躍中の方々である。地球温暖化の進行とそれが及ぼす影響の大きさについて、多くの映像を使って一般人にも分り易く解説してもらったので、参加者にとっては極めて有益な勉強になったと思われる。因みにこれらの方々の研究は、本年二月から五月にかけて発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告書の内容にも日本の貢献資料として活用されており、今回の講師の講演は世界が共有している最新情報を紹介するものであった。

 一方「脱温暖化センターひろしま」の推薦によって、地元代表として参加された四人の講師は、何れも実生活の中で経験された気候・気象の変動を克明に報告し、地球温暖化の影響が既にわれわれの日常生活の中にも現われつつあることをはっきり印象づけられた。

 今回のシンポジウムは、「脱温暖化センターひろしま」の近光章理事長が総括された様に最前線の科学者の研究成果を一般市民の温暖化防止活動への関心につなげるものとして、新しい一頁を開いたものであった。
村山講師 講演要旨:
 本年発表されたIPCC第4次報告書によれば、今や地球温暖化に基く種々の自然環境の変化や異常気象が生じていることは確実であり、しかも温暖化の主たる原因が産業革命以降の人類の社会経済活動の急速な拡大に伴う温室効果ガスの排出量増大によるものであることも間違いない。
 しかし地球の温暖化及びそれに基く気候気象の変動は全世界一様に起るものではなく、地域によって大きな差異がある。一つの地域で集中豪雨が発生しても、同じ時期に近くで旱魃に見舞われる地域もある。個々の地域についての中長期的な気候変動はある程度予想出来るようになっており、広島について云えば、今後夏日、真夏日の増加、冬日の急激な減少、湿度の低下、大雨の増加など、全般に変動が大きくなる傾向を示している。日本に来襲する台風の数は年によって増減するが大型台風が増加する可能性が高い。

江守講師講演要旨:
 地球の気候気象の将来の変動を予測するために種々の気候・気象現象(たとえば気温の変化、降水量の増減など)について大型コンピューターを揃えた観測システムを駆使して多くのシュミレーションを行っている。この点については目下全世界的なネットワークを整備しつつあるが、日本の観測レベルは一流で世界的に貢献している。世界における気候気象の変動については、このまま温暖化が進めばより深刻な「異常」気象がもたらされる可能性は極めて高い。台風や集中豪雨による大雨の頻度は増加する。2030年頃までの近未来にも、暑い日中と夜の増加、寒い日中と夜の現象が世界各地で顕在化すると予測される。

藤田千紀枝講師:(北広島町公衆衛生推進協議会長)
 藤田氏は、米を含む農作物の生産の経験から、地球温暖化の影響が降雪量の増減や害虫の発生(越冬の可能性あり)をもたらすことを報告し、このような現象に対応して生産の時期を調節し生産量の低下を招かぬように努力していることを報告した。

森本勝利講師:(倉橋の海とくらしを守る会々長)
 森本氏は、地球温暖化の影響による海と沿岸の変化と思われる現象として、砂浜の縮小、松林の枯死、台風の大型化(高波の増加)、魚介、海藻類の減少(あるいは魚種の変化)などがみとめられると報告した。
 台風対策としては大型化の実体を研究して防波堤の強化などを検討している由。

盛川元晴講師:(盛川酒造株式会社杜氏)
 呉市の酒造会社の「杜氏」として日本酒の製造に従事しているが、適当温度の自然水の確保が困難となりつつある状況を報告。全国的にもアルコール飲料用の良い水の入手がむつかしくなっている由。

波田健一講師:(気象予報士)
 株式会社テレビ新広島社員。8年程前に「気象予報士」の資格を取得して、同テレビで気象予報を含むニュースキャスターとして活動している経験を報告、最近は職業上のニーズから正確な気象予報を求める市民が増大している由。

筆者コメント:
 今回の広島における「気候の危機フォーラム」は、地元関係者の協力を得て十分な準備を経て開催されたこと IPCCの第4次報告書の公表やハイリゲンダム主要国首脳会議の開催などフォーラムに先行してマスコミの取り上げた地球温暖化に関するニュースも多かったこと 東京及び地元から参加した講師の人選が適切であったこと 等の理由により、今迄に開かれたフォーラムの中でも最も活気があり、中央(東京)と地元の関心事項がぴったり一致した会合であった。現在日本の温暖化防止活動の中で最大の問題点は 科学者の説明や報告 政府や地方自治体のPR運動 一般国民の活動の三つが中々結びつかない点にあると思われるが、今回の広島のフォーラムはこの結びつきがようやく具体的な形になって現われ始めたという希望を与えるものであった。

 
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