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「広島市民環境大学」に出席して(2006/3/18) プリント

 3月18日(土)広島環境サポーターネットワークの活動10周年記念事業として開かれた「広島市民環境大学」の会合で基調講演をするように依頼されたので、久し振りに同市へ出張した。会場は同市西区の区民文化センターである。

 広島市は、太平洋戦争の末期米軍の原爆投下により、20万人近い犠牲者を出し、市街も一面の焼野原となった。その灰燼の中から立ち上って復興につとめ、今では人口約120万の大都市となっているが、環境問題にも熱心な自治体と聞いていた。今回の行事の主催者となった広島環境サポーターネットワークは、広島市が主宰する環境セミナーの受講者が、講習終了後引続きボランティアとして活動するために自らネットワークを組織したもので、その活動が今年で10周年を迎えたということである。

 サポーターの人々は30才〜50才台が多く受講した年次により1期生、2期生と呼び合っており、中学や高校の卒業生と同じように、「同級生」の仲間意識が強いのも面白い。市の環境局が、いわば生みの親の立場でこのネットワークを支援しており、今回の「環境大学」にも土曜日ではあるが現職の環境局長さんをはじめ幾人かの方が参加しておられた。

 基調講演で私として何を話すかについては、「ストップ地球温暖化―未来に夢を」というのが会合のキャッチフレーズとなっていたので、「これからの30 年、何が起こるか、何ができるか」の題で、京都議定書の採択から今日に至るまでの国際交渉の流れ、多分野にわたる科学的な調査・研究の前進、そして地球環境問題が今後の日本外交にとって極めて重要な分野となることを話した。ただし最後の日本外交の部分は時間の制約もあって十分説明することが出来なかったのはいささか心残りであった。

 私の講演に引続いて「広島環境サポーターネットワーク10年の歩み」がビデオ・スクリーンで写し出され、広島の町の発展と共に成長してきた環境ネットワークの歴史が紹介された。

 更にネットワークを構成する各部会の活動の紹介が、ビデオ・スクリーンを使って行われた。広島環境サポーターネットワークは現在約500名の「現有勢力」を持っており、これらの方の多くが幾つかの部会に分かれて活動を続けている。森林、河川、海洋、生活、国際交流など各部会の代表による解説があった。ネットワークが10年間いろいろの困難を乗り越えて続いてきた背景には、これらの部会で培われたメンバーの親和力が大きな力になっているのではないかというのが私の感想である。

 部会活動紹介に続いて、下記のとおり、地元の行政、環境団体、環境サポーター代表のパネリスト各氏によるディスカッションが行われた。

コーディネーター

  • 薦田直紀(財)広島県環境保健協会地域活動支援センター長
  • (広島県地球温暖化防止活動推進センター長、脱温暖化センターひろしま事務局長)

パネリスト

  • 森嶋 彰
    • 広島市地球温暖化対策地域協議会会長(広島修道大学教授)
  • 松尾健司
    • NPO法人ちゅうごく環境ネット事務局長
  • 亀井且博
    • 広島市環境局次長、岩地加世 広島環境サポーター、同ネットワーク常任幹事(元生活部長)環境カウンセラー
  • 谷保清美
    • 広島環境サポーター 広島県地球温暖化防止活動推進員(生協ひろしま理事)

 コーディネーターの薦田氏が、パネリストの方々の経歴や専門分野を十分承知した上で、出来るだけ実質的、具体的なコメントを引出せるような質問を投げかけられたので、非常に多彩で聴取者にとっても興味深いパネルディスカッションになったと思う。

 パネリストの発言の中で、今後の温暖化防止運動を進める上で大切だなと感じたものを幾つか挙げてみる。

  • 一般市民は最近異常気象が世界の各地で起っていることは実感している。これを各個人の具体的な省エネ活動と結びつけるための方策が必要。 
  • Think globally, Act locally の戦略が大切
  • 広島市では産業部門からの温室効果ガス排出は全体の25%と比較的少なく省エネもこれ以上大幅な削減は望めない。民生、運輸交通部門での大幅な削減が必要。(民生、運輸交通部門でのCO2排出量大幅削減は全国的にも必要と指摘されている)
  • 温暖化防止活動のネットワークは広い世代の男女を取り込めるようなゆるやかな組織が望ましい。
  • 一般家庭に浸透するような取組みが必要。省エネ(光熱費削減など)とCO?削減を上手に結びつける説明が出来ないか。

 

 パネルディスカッションのあと聴取者から質疑の時間が設けられ、それぞれの地域体験に則した質問やコメントが多く行われた。私に対しても聴取者から2、3の質問があったが、地球環境問題が国際的にも大きな関心事項となっている中で、日本政府はどのような対策を考えているのかを、もっと明確に知りたいという期待をこめての質問が多かった。

 市民環境大学のプログラム終了後、同じ西区民文化センターの別室において、参加者による懇親パーティが開かれた。サポーター第1期生の保光義文氏の発声による乾盃、あとは全員ビールやワインを飲みながら、それぞれの職場や地域コミュニティーでの苦労話、あるいは子供相手の環境教育の体験談などに話が弾んだ。

 更にノーベル平和賞受賞のマータイ女史などに扮したお二人の環境サポーターのコメディー調の寸劇も披露され、一同笑いに包まれてのリラックスした時間を過すことが出来た。以上土曜日半日を費やしての行事であったが、企画から実施まで多くの皆さんがしっかり協力して、力強い10周年記念行事となった。中村ネットワーク代表、住田運営委員長をはじめ広島環境サポーターネットワーク全員の方々にあらためてご苦労様と申し上げると共に、今後のネットワークのご発展とメンバーの皆様のご健勝ご活躍を心よりお祈り申し上げます。

(了)  

 
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