<環境省と経済産業省の対応>
これまで環境省と経済産業省はそれぞれ独自に日本の温室効果ガス排出量削減のあり方について検討を進めてきた。環境省の傘下では、中央環境審議会が2002
年1月に「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方に関する答申」をとりまとめた。また、経済産業省では、産業構造審議会環境部会地球環境小委員会が
2001年12月に発表した「中間とりまとめ」の中で、京都議定書の実施に当たっての国内対策について基本的な考え方及び当面の具体的施策について検討結
果を示している。
日本が京都議定書に批准するには、その削減目標を実際に達成できる見通しを示す必要がある。両省が進めているのは温室効果ガス削減のシナリオ作りだ。
環境省の「温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会」は2001年3月、報告書を発表した。この中で1990年以降の排出量増減の要因を分析すると
同時に、これまでに決めた対策を実施した場合、2010年時点の排出量が90年に比べてどれだけ増減するかを試算している。
さらに、資金などの制約条件をあまり考慮せず、新技術を追加した場合の2010年時点における最大限の削減量(削減ポテンシャル)も検討している。
<2つのケースを想定>
また、同検討会報告書では、京都議定書の第一約束期間までに原発を13基新設した場合(計画ケース1)、7基の場合(計画ケース2)の二つの場合を想定している。
2010年時点でのエネルギー消費による二酸化炭素(CO2)排出量は90年に比べ、計画ケース1で8%増、計画ケース2では11%増となる。京都議定
書の対象であるCO2など6種の温室効果ガスの全排出量は計画ケース1で5%、計画ケース2では8%増える。
だが、資源の有効活用や、風力などによる自然エネルギーの利用促進といった工夫を含む削減ポテンシャルを加えると事情は変わる。これを計画ケース1に適
用すれば6種のガスは4〜13%、計画ケース2でも1〜10%減らすことができる。
<基準ケースと目標ケース>
経済産業省・資源エネルギー庁は将来のエネルギー消費に伴うCO2排出量を予測している。同省も「基準ケース」と「目標ケース」の二つを想定し、それぞれで
2010年における90年比のCO2排出量の増減率を試算した。基準ケースでは、エネルギー消費によるCO2排出量が6.9%増えると予測している。
目標ケースは想定する排出量削減政策やエネルギー需給構造によって複数に分かれる。ただ、いずれも2010年度時点でのエネルギー消費によるCO2排出量を1990年度と同水準に抑えることを前提としている。
例えば、一つの試算では大規模なエネルギー節減やエネルギー源の転換を促す新税の導入を想定。ほかに、原子力発電所を新設しない場合なども想定し、それぞれで経済にどれだけ影響するかを検討している。
新税を導入する目標ケースでは基準ケースと同様に年2%程度の実質経済成長を達成できるが、原発を新設しなければこれよりやや低下するとみている。
このように、環境省の予測は、温室効果ガス6種の排出量をどれだけ削減できるか、そのためにどんな方策をとるべきかに重点を置いている。一方、経済産業省は、経済への影響を重視した見通しをたてている
|