<合意は先延ばし>
2000年11月の地球温暖化防止ハーグ会議(COP6)の目的は、京都議定書が定めた温室効果ガスの排出量削減計画を実行に移す細かいルールを決めることだった。だが各国の意見がまとまらず、決着は翌年7月のCOP6再開会合に持ち越した。
温暖化防止会議に参加する各国は、図の5グループに大別できる。温暖化対策に最も積極的なのは欧州連合(EU)。経済への影響を最小化したい日本、米国などEU以外の先進9カ国は「アンブレラ(傘)グループ」と呼ばれる。
EUとは別行動をとるスイスや議定書で発展途上国に分類されて温室効果ガスの削減義務を負わない韓国などは対策に十分配慮する「環境十全性グループ」を形成する。しかし、同じグループ内でも意見の差はある。
COP6での主な対立点は、
- (1)新たな温室効果ガス吸収源の認定の是非、
- (2)発展途上国の扱い、
- (3)京都メカニズムの扱い、
- (4)遵守制度の内容の四つだった。
議定書第3条3項は、削減対象の温室効果ガス6種の吸収源として1990年以降の人工的な植林などによる森林を指定する。吸収量を削減量に算入できるが、ガスとしては二酸化炭素(CO2)が大部分を占める。
同条4項は、牧草地など新たな吸収源も、京都議定書発効後に議定書の締約(批准)国が合意すれば、第一約束期間(2008〜2012年)までの削減量達成に使えるとしている。
COP6ではこの4項について、3項以外の吸収源を実際に認めるのか、認める場合は何を対象にするのか、吸収量はどう計算するのかを議論した。新たな吸収源を利用したい米国、日本、カナダと、これに原則反対するEUが対立した。
<新基金作りの要求>
途上国を巡る議論も活発化した。焦点は、途上国への技術移転や資金提供の方法や、先進国の温暖化対策が途上国経済に及ぼす悪影響への補償だった。資金提供では先進国が気候変動枠組み条約(地球温暖化防止条約;UNFCCC)に基づく「地球環境ファシリティ(GEF)」の活用を主張したが、途上国は新基金の設
立を要求した。
議定書は、地球規模で温室効果ガス排出量を削減するための京都メカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムの3種)の適用を国内対策の補
完に限定する。クリーン開発メカニズムの事業に原子力発電や植林などを含めるか否かという点でEUとアンブレラグループが対立した。
<拘束力の是非>
京都議定書が定めた温室効果ガス排出量の削減目標を達成するための遵守制度作りも紛糾した。議定書の約束を守らなかった国に対してとる措置に関し、議定書改正で拘束力を強めるべきだとしたEUなどと、拘束力を弱めようとした日本、オーストラリアがかみ合わなかった。
2002年の議定書発効を実現するには地球温暖化防止条約批准国がCOP6再開会合において、これまでに示したような対立点で合意する必要があるとの認
識が強かったが、最終的には2001年11月のCOP7で基本的な合意をみるに至った。ただし、遵守制度の不遵守措置に関する拘束性については、議定書発
効後に開催される第一回締約国会議(COP/MOP1)で決着されることとなった。
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