<先進国に排出量削減義務>
1997年12月に開かれた地球温暖化防止京都会議(COP3)は、二酸化炭素(CO2)を中心とする温室効果ガス6種の排出量削減スケジュールを定めた京都議定書(以下「議定書」という。)を採択した。議定書は各国が地球温暖化対策を共同で実施するための唯一の国際的な枠組みである。
議定書は気候変動枠組条約(地球温暖化防止条約)を批准した締約国(185カ国と欧州委員会)のうち先進国(東欧を含む38カ国と欧州委員会)にそれぞ
れ目標量を示して6種の温室効果ガス削減または抑制を義務づけ、達成時期を定めている。なお、発展途上国には排出量削減を求めていない。
<森林を吸収源に>
議定書は、温室効果ガス排出量の削減コストを低く抑え、効率良く削減目標を達成する仕組みとして京都メカニズムを定め、国内対策を補完するためにこのメカニズムを利用できるとしている。
京都メカニズムとは先進国間同士の排出権取引、共同実施、先進国と途上国間のクリーン開発メカニズムの3種を指す。先進国が発展途上国で排出量削減事業
を実施し、ここでの削減量を自国の削減量に算入できる制度がクリーン開発メカニズムだ。事業を実施する相手が先進国ならば共同実施と呼ぶ。
議定書はまた、森林をCO2などの吸収源とみなし、光合成の過程で森林が吸収する量を大気中からの削減量として認める。
ところが、COP3ではこうした新しい仕組みを実施するために必要な細かい国際ルールは盛り込むことができなかった。京都メカニズムを実行するには、それぞれの仕組みの設計や共通の運用ルールの設定が必要となる。
たとえば、森林は地域や種類、樹齢によってCO2などの吸収量が違い、算定方法などの統一が必要である。
<遵守制度が課題>
もう一つの大きな課題は、議定書が定めた削減目標の達成義務を各国にどう遵守させるか決まっていないことである。
議定書の排出量削減目標には法的拘束力があるが、それが実際に守られたかどうか判定し、遵守されなかった場合の理由を検証する制度はなく、守らない国に対する罰則なども決まっていなかった。
そのため、1998年11月には地球温暖化防止条約の締結国が「ブエノスアイレス行動計画」を採択し、京都メカニズム、遵守制度、先進国からのさらなる
技術移転や資金提供のメカニズムなどの途上国支援といった個別要件の運用や実施に関するルールを2000年11月の地球温暖化防止ハーグ会議(COP6)
までに合意することとされた。
1999年の締結国の閣僚会議では、多くの国が地球サミットから10年目に当たる2002年に開催される「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」で京都議定書を発効させようと呼びかけた。
だが、COP6では国際ルールの合意に至らず、米国の不支持などの逆風も吹き始めた
|