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10.日本の事情(5)低燃費車の普及が急務 プリント

<運輸部門の排出量急増>

 自動車、航空機などを使う運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量は世界で増え続けている。同部門の日本のCO2排出量は1999年度が約2億6千万トンで 1990年度より23%増加(政府統計)。1990年から1998年にかけては米国が13%増、ドイツは12%増で、先進国では日本の増加幅の大きさが目立つ。1998年度の日本全体のCO2排出量のうち運輸部門が21%を占める。このうち自動車が88%で、ほとんどがトラック運送やドライブなどによる排出である。グラフのように自動車や航空機が乗客1人を1キロメートル運ぶ際のCO2排出量は鉄道に比べて格段に多い。

 日本で1990年以降に運輸部門からのCO2排出量が大幅に増加した大きな理由として、旅客では自動車の大型化による燃費悪化や個人の乗用車保有台数の 増加があげられる。貨物では鉄道、船から自動車、航空機へと輸送手段の転換が進んだことが影響している。

乗客1人を1km運ぶ際のCO2排出量

<エコドライブ>

 日本では1998年に省エネルギー法が改正され、自動車メーカーは燃費向上に再び力を入れている。ハイブリッド車など大幅に燃費を改善した自動車を量産する ようになり、徐々に普及してきた。政府は低燃費車の生産と使用を促すため、燃費基準の強化や、税制、助成制度の改革を検討している。自動車が信号待ちなどで停車中にエンジンを止めたり、タイヤの空気圧を適正に調整したりすることで燃料消費を減らす「エコドライブ」は有効なCO2排出 量削減策といえる。京都議定書が定めた温室効果ガスの削減目標を達成するために、このほかにも空ぶかし、急発進、急ブレーキを止めるなど様々な方策が必要だ。

 旅客では、自家用車よりもCO2排出量が少ない鉄道やバスなどの公共交通機関の利用を促すことが大切だ。そのためには

  • (1)公共交通機関の利用を促進する特別な回数券、定期券などを開発、
  • (2)乗用車への相乗り促進、
  • (3)渋滞が頻発する区域への自動車の乗り入れ規制や特別料金徴収、

といった経済的手法や規制的手法をうまく組み合わせて実施する必要がある。

 

<鉄道、船の利用推進>

 貨物では、輸送手段としてCO2排出量が比較的少ない 鉄道、船の活用を産業界に求めることが重要だ。貨物駅、港湾などのインフラ(社会的生産基盤)整備だけでなく、鉄道や船の実質的な利用料金を引き下げる経 済的手法も検討すべきである。情報技術(IT)利用のほか、複数の会社による原材料や製品の共同輸送も促進する必要がある。運輸部門のCO2排出量を削減するには、新交通体系の確立や総合的な国土計画など政府、地方自治体の大局的な努力も必要だ。

 東京都は交通需要マネジメント(TDM)東京行動プランとして、交通量の抑制や平準化といった交通需要の調整を進めようとしている。運輸部門の対策は温暖化だけでなく、窒素酸化物(NOx)削減など地域の環境対策にも役立つ。

 
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